徐々に高まる1ドル=103円突破の可能性 円安進行を予感させる、インド株市場の底入れ
注目すべきは、この動きが今春の米国株の市場最高値更新を契機に生じたことだ。むろん、FRBの緩和巻き戻しが意識され始めたことも一因だが、筆者は米国株の史上最高値更新は2010年代半ば以降に控えるエネルギー革命を織り込む最初の前兆だったのではないかと考えている。
新興国ブームから北米ブームへの転換?
エネルギー革命は、場合によっては1990年代後半のニューエコノミーに匹敵する米国ブームをもたらす可能性がある。もちろん米国経済の復活は世界経済にとって好材料ではある。だが、米国がニューエコノミーに沸いた1990年代後半は、94年メキシコ危機、97年アジア危機、98年ブラジル危機、2001年アルゼンチン危機など、新興国で危機が頻発した時期でもある。
世界最大の経済大国である米国に投資資金が引き寄せられ、金融市場や通貨制度が脆弱な国から資本逃避が起こりやすくなるためだろう。終息の兆しが見えた今回の新興国市場の混乱も、過去5年続いた新興国ブームが北米ブームに切り替わっていく変化の前哨戦にすぎないのかもしれない。
こうした中で、今春から新興国市場の苦戦が始まったことに、筆者は違和感を覚えない。ただ、誤算があったとするならば、6月以降、中南米市場などに底入れの兆しが強まる中、アジア市場がそれに追随できず、インドルピー、インドネシアルピアに至ってはより厳しい売り圧力にさらされたことだ。
実は中南米では、6月以降も8月半ばまではブラジルレアルの下落は続いていた。だが、ブラジルの株式市場は7月前半には底打ちし、足元までにすでに2割以上も反発してきている。メキシコの場合は株価反発のみならず、6月以降はペソ相場が下げ渋りを続けてきた。この中南米市場の回復で、逆に、アジアでの通貨安、株安が世界の新興国市場の中でも際立つことになった。
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