徐々に高まる1ドル=103円突破の可能性 円安進行を予感させる、インド株市場の底入れ

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ただ、その一方で、足元でインドルピーをはじめとする新興国通貨の下落に歯止めをかけたのも日本かもしれない。

転換点は今月5~6日にロシアのサンクトペテルブルグで開催されたG20サミットだ。その際、BRICS諸国の首脳は総額1000億ドルの外貨準備基金の創設で大筋合意した。この外貨準備基金はまだ詳細はまったく決まっておらず、また実際に創設されてもインドが引き出せる外貨資金の額は、おそらく拠出額を大きく上回ることはないと考えられる。

日印通貨スワップ増額で、ルピー下落に歯止め

ただ、このBRICS基金に触発されてか、今月6日、日本の財務省がインド政府との間で、現在150億ドルの通貨スワップ枠を500億ドルへ大幅増額することで合意したと発表した。さまざまな条件があり、その満額をすぐに使えるわけではないが、これはインドの外貨準備の約2割に相当する。

インドの場合、経常赤字のファイナンスを海外からの株式投資に依存する割合が高い。成長を重視する株式投資家は、通貨価値の安定を重視する債券投資家に比べ、金融引き締めなどの通貨防衛策を素直に好感することができない。金融引き締めが内需抑制などで経常赤字縮小などの効果を発揮してくるまでの過渡期を乗り切るには、いずれ為替市場での実弾攻撃(ルピー買い介入)が必要になる。

日印通貨スワップ枠の増額はその「実弾」(外貨準備)の拡充を図るものである。ドル売り介入によって、外貨準備が減ることで増幅される市場の不安心理を払拭することにも貢献する。その結果、金融引き締めを緩やかに行うことが許されれば、株式市場への投資資金が復調し、通貨安に歯止めがかかりやすくなる。

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