「後発だった」ナイキがトップになった理由

ABCマート社長「革新し続ける頑固者は最強」

日常生活でふと見つけるビジネスのヒントが楽しいと思ったことはありませんか? 私は街に出ると、つい人々の洋服や靴を見てしまう。ラーメン屋の行列を眺めながら、どんな人が、どんな服を着て、どんな靴を履いているかを見てしまう。電車の車内でもそうですね。街にはヒントがあふれているのです。いつの間にか、アンケート調査をしているようなものです。

私は週末には店頭に必ず立ち、接客をしています。というのも、売り上げはPOSデータでわかりますが、お客様がなぜその靴を買ったのか、あるいはなぜ買わなかったのかという理由まではわからないからです。直接接客をすると、どうしてそれを買っていただいたのか、あるいは買っていただけなかったのか、理由が見えてきます。店頭での接客は私が20年来続けていることで、私にとっての哲学の1つだともいえます。

臆病なプライドを持て

――若い読者に本書から汲み取ってほしいメッセージとは何でしょうか?

まさに「仕事に対するスピリットの原点、ここにあり」と思える本です。仕事って、どこかプライドがないとできない。でも、プライドが間違った方向にいくと、自分にとっても会社にとってもマイナスになってしまう。だからこそ、臆病さのあるプライドがビジネスでは重要だと私は思っています。本当にこれでいいのかという疑問を常にもつ臆病さ、それはどの業界であっても、どの職位であっても必要なことだと思います。

この本には、フィル・ナイトが経験した多くの葛藤が率直に描かれています。大きな問題に直面したとき、彼は迷いながら恐る恐る決断しています。そうしたビジネスの基本精神とでもいうものが、彼の心情を通して自然に入ってくる。すでに働いている人も、またこれから就職する若い人にとっても、とても有益な本ではないでしょうか。

――野口さんにとってスニーカーとはどんな存在ですか?

私にとって、スニーカーは音楽や書籍と同じ。その音楽を聴けば、あるいはその本を開けば、それを聴いていた、あるいは読んでいた時代がよみがえってくるように、過去に履いたスニーカーを見れば、当時の自分がよみがえるんです。だから、私は古いスニーカーも捨てられず、ずっと残しています。

きっと、スニーカーは洋服よりも同じ1足を身に着ける時間が長いから、そういう思いが強くなるのでしょう。スニーカーは単なる「靴」ではないのです。自分を形づくってきた大きな要素の1つです。そうした文化を創り出したのは、ナイキの大きな功績だと思います。

ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ミセス・パンプキンの人生相談室
  • 「非会社員」の知られざる稼ぎ方
  • カラダとおカネのよもやま話
  • 最新の週刊東洋経済
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
大手から専業まで大混戦<br>中古マンション販売の隘路

新築価格が高止まりし、参入業者が急増する中古マンションの「買い取り再販」。デベロッパー自ら物件を取得し、リノベーションを施して販売する手法だ。価格上昇や売れ残り増加など懸念材料も出現、手放しでは喜べない活況の裏側を描く。