全員正社員!女子95%で成長する秘訣 クロスカンパニー 石川社長が語る女性活用
――成長の過程で女性活用が必要だったわけですね。
いわゆる労働力確保の面でも経営戦略上必要でした。例えばイオンモールとかららぽーとが大型商業施設を開発しても、ただでさえ若者がいない上に、モールの中で人材獲得競争になって、その地域で完全に雇いきれない状態になります。私たちも実は中央で採用した人を「Uターンキャリア」で1年間だけ郊外に派遣して、なんとか大量出店の成長戦略を続けていましたが、とにかく苦労していました。
ところが、まず岡山県だけで4、6時間勤務の営業員募集を実験的にやってみたら、8時間の正社員募集を圧倒的に上回る3倍の履歴書が届きました。潜在的なニーズが強いと実証できたものですから、すぐに全国に求人募集を拡大すると、約4カ月で1000人を超える応募が来たのです。
全員が同じことを言います。「やりがいのある仕事をやりたかった」と。だけど、これまで彼女たちが活躍する労働市場がなかった。そこに「4時間正社員」という安定感と、ある程度の権限がある充足感、「安定」と「責任」の二つが目の前に降って湧いてきたら当然飛びついてきます。みんなすごくはつらつと頑張ってくれている、というのが現状です。
短時間勤務制度の利用者は現在165人。郊外型ショッピングセンター(SC)の店舗を中心に、2~3店に1店の割合で4時間か6時間正社員が入っています。これを将来的には1店舗に2人入れて、1000人くらいを雇いたいと考えています。
短時間勤務でも生産性に問題なし
――現場に負担はありませんか。
これはやってみてから気が付いたのですが、逆に4時間正社員は1時間当たりの労働生産性が高いんです。彼女たちはローカル要員として配置していますので、保育園や幼稚園のママ友を連れてきてくれます。地域の行事の話ができたりもするので、顧客1人当たりの単価やリピート率がとにかく高く出ています。
もう1つ面白い事例は、「グリーンパークス」というブランドで意図的にほぼ女性だけの事業部を作ってみました。ターゲットはアラサー(30歳前後)のヤングママ、部署も顧客と同じにしようと30代女性を集めてみました。
女性目線のブランド構築が当たり、このブランドは20%成長を続けて、通期売上高は今期220億円ぐらいになる見込みです。営業利益率は15%とすでに基幹ブランドの「アースミュージック&エコロジー」を超える数字を叩き出しています。現在はグリーンパークスの出店が一番多いですから、この2~3年でアースに並ぶブランドに成長するでしょう。
私たちはCSR(企業の社会的責任)という視点ではなくて、会社の利益になるから女性支援をしているということをいちばん言いたい。女性活用が企業の成長に必要だということを理解してやっているワケです。
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