久保利弁護士「神戸製鋼所はあまりに拙劣だ」 コンプラ経営の第一人者が語る改ざん問題
本来、こういうときには社外取締役が前面に出て、企業価値を回復させるための対策を講じる必要がある。直ちに第三者委員会を作って徹底的に調査するのが常道だ。
ところが、神鋼は社内の調査委員会を作って、社外の法律事務所にも調査をしてもらっていると言うが、委員会の委員長は社長であり、どこの法律事務所を使っているかも公表しない。どんな独立性があって、顧問弁護士とは何の関係もないのかが定かでない。独立した社外取締役はいったい何をしているのかもはっきりしない。「経営者は交代せよ」という話になるのは当然だ。
日本にとって大きな打撃になる
――米ニューヨーク・タイムズ紙が1面トップで「日本のイメージに打撃」と報じるなど、日本の製造業全体に対する国際的な信頼性低下にもつながっている。米国の司法当局も調査を開始した。
これはまさに大きな打撃だ。神鋼の改ざんが単発の問題ならまだしも、タカタや三菱自動車、日産自動車など品質にかかわる不祥事が相次いでいる。そのため、オンリーワンで例外的な事件ではなく、日本の企業がみんなそうなのではとの疑いを募らせている。
日本はものづくりナンバーワンで、いいものをしっかり作って信頼性抜群ではなかったのか。東芝のように会計も信用できない、安全性も信用できない、製品の検査も信用できないということになると、日本の経済に対して大ダメージだろう。
――今回の改ざんが発覚したのはアルミや鉄鋼など上流の素材事業であり、神鋼の経営陣は消費者に直結しないBtoB事業に問題が集中していると述べている。
納入先のBの先には消費者のCがある。B to Bは上流だから、下流に大きく広がるという点で影響力は大きく、本来いちばんケアすべき製造業の根幹といえる。根っこがしっかりしていなければ、上のほうでどんなことが起こるかわからない。上流で毒を流せば下流の人はみな死んでしまう。そういう大事件になるんだという想像力や視点を持たなければ、経営を完全に見誤ることになる。
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