トランスデジタル倒産--発行株膨張の深い闇
ジャスダック上場のシステム開発会社、トランスデジタルが9月1日、民事再生法の適用を申請した。資金調達を進めたものの、8月下旬に2度の不渡りを起こし、事実上の倒産に追い込まれた。
同社の最終局面で異常だったのは、発行株式数の急激な膨張だ。7月に発行した行使価格修正条項付きの新株予約権(MSワラント)は実に6・5億株分。それまでの度重なるエクイティ・ファイナンスにより6月末の発行済み株数は約2・4億株に達していた。問題のMSワラントも8月中に全部が行使され、発行株数は9億株を超した。この間に株価は下落基調を強め、出来高も激増。8月20日には終値で1円をつけ、その日のジャスダック市場の出来高のうち約8割はトランス社株の売買が占めた。
こうした異常事態を見かねたのか、ジャスダックが25日に公表した「アクションプラン」には、月間のMSワラント行使数量が発行株数の1割を超すような場合、公表前に当該企業へ勧告を行う方針が盛り込まれた。かつて大証ではサンライズ・テクノロジー株の大量売買でシステムトラブルが発生。仕手株の傍若無人ぶりは証券取引所にとって看過できなくなっている。
トランス社は元EIE総帥の故高橋治則氏が手掛けるなどして数年前に仕手銘柄化。最近はロシア人工島計画をブチ上げた東邦グローバルアソシエイツを操る人脈の影響力が強まり、MSワラントの譲渡先には暴力団と交友がある人物も含まれていた。
(井下健悟、高橋篤史 撮影:吉野純治 =週刊東洋経済)
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