インスタの消える動画「ストーリーズ」の威力 スマホ画面いっぱいの広告枠に企業が群がる

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インスタグラムで広告を展開する業種は、従来の高級ブランド品、化粧品、デジタル製品などに加え、最近では一般消費財、保険や学生ローンなどの金融商品にも拡大。始まったばかりのストーリーズでは、広告出稿はまだまだ増えそうだ。

親会社フェイスブックの2017年4~6月期決算では、広告収入が91億6400万ドルと、前年同期比で47%伸びた。牽引役となったのは広告収入の8割以上を占めるモバイル広告だ。サービスごとの内訳は公表されていないが、現地報道によれば、同社幹部が「インスタグラムの貢献度が増している」と言及。ストーリーズの広告も、その一翼を担っているのは確かだ。

ただ、ネット広告の業界全体を見ると、明るいニュースばかりではない。米グーグルや米アップルがネット上における利用者の行動のトラッキングを制限する方向に動いている。しつこく表示されるターゲティング広告に煩わしさを感じている人が増えていることも関係しているだろう。

インスタユーザーの多くは企業もフォロー

ジム・スクワイヤーズ氏は、ターゲティング広告の精度向上に自信を示した(撮影:今井康一)

インスタグラムの場合、「利用者の80%以上が何らかの企業アカウントをフォローしている」(同社)と、状況が異なる面はある。ただ、広告のせいでサービス自体が嫌われてはいけないという課題意識を持っているのは同じだ。

「広告主や広告コンテンツが増えれば増えるほど、社内に知見が溜まり内容やマッチングの精度を改善していけるはず。今後もどんな広告なら積極的に見てもらえるか、どんな人にどんな広告がマッチするか、ユーザーの行動からつねにシグナルを拾っていく」(スクワイヤーズ氏)。

同社では広告コンテンツの企画・制作についてコンサルティングを行う専門部署も設置し、広告主との直接の協業も強化している。利用者の好みやユーザビリティを考慮しながら広告収益を拡大していくには、絶え間ない改善が求められそうだ。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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