インスタの消える動画「ストーリーズ」の威力 スマホ画面いっぱいの広告枠に企業が群がる

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提供開始からわずか1年弱で、ストーリーズの閲覧・投稿者数は全世界で1日あたり2億5000万に到達(2017年6月時点)。利用者のアプリ滞在時間も、ストーリーズ投入前の2014年に1日21分(全世代平均)だったところから、直近では25歳以上の利用者が同24分、25歳以下の利用者が同32分まで伸びた。

当然、企業も広告宣伝のツールとして目をつけている。企業アカウントの約50%がストーリーズに投稿しているほか、今年2月に投入したストーリーズの広告メニューも販売が急伸しているという。

ストーリーズは「インスタ映え」用ではない

ストーリーズの人気が急激に高まった背景にはどんな事情があるのか。インスタグラム米本社でビジネス部門の責任者を務めるジム・スクワイヤーズ氏は「インスタグラムにおけるフィードの位置づけ、使われ方が徐々に変化してきた」ことを指摘したうえで、次のように分析する。

インスタグラムのビジネス部門責任者、ジム・スクワイヤーズ氏は、ストーリーズの気軽さを強調した(撮影:今井康一)

「フィードはここ最近、生活の中のハイライトを投稿するための場になっている。あらゆる写真を頻繁にアップするのではなく、よく撮れているものを厳選したり、凝った編集をしたりして投稿する。とりわけ若年層にこの傾向が強く出ている。一方、もっと別のテンションで、気軽かつリアルタイムに写真や動画をシェアしたいという需要が生まれてきた。そこにマッチしたのがストーリーズだ」(同氏)

同様の考え方で、インスタグラムに先立ち成功したのが、米国発のメッセージングアプリ「Snapchat(スナップチャット)」だ。ユーザー同士で写真や動画を送り合うことができるが、相手の閲覧後には自動で消える。この気軽さが受け、2011年のサービス開始以来、10代を中心に利用者数を伸ばしてきた。

一方のインスタグラムは、自社サービス内にこの要素を取り込んだ形だ。面白いと思った瞬間を臆することなく投稿できるストーリーズと、ずっと残したいこだわりの写真・動画を投稿するフィードを併せ持つことで、ユーザー接点に厚みを持たせてきたわけだ。結果的にストーリーズの利用者数は、スナップチャット(直近で1億7000万人強)を超えた。

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