タカラヅカ、100年続く華麗さに秘められた姿 年功序列とスターシステムを両立できた理由

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タカラヅカの代表作として知られる「ベルばら」。「ベルばら」だけではないさまざまな作品を楽しめるのがタカラヅカの魅力でもある(写真:けいわい/PIXTA ピクスタ)
2014年に創立100周年を迎えた宝塚歌劇団。目下のところ興行的にも好調で、2016年にはホームグラウンドである宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)および東京宝塚劇場(東京都千代田区)での全公演が完売という実績を上げている。観客動員数も約273万人と過去最高を記録した。
神戸製鋼や東芝など100年続く日本の企業に不正が発覚している一方、100年以上前から今も変わることなく業績を上げ続けている「タカラヅカ」をエンターテイメント集団としてではなく1つの企業として見てみるとどうなるのか。中本千晶氏の著書『鉄道会社がつくった「タカラヅカ」という奇跡』から100年の伝統と挑戦に挑む宝塚歌劇団の姿を読み解いていく。

タカラヅカを一貫して運営するのは阪急電鉄

宝塚大劇場は客席数2550席、東京宝塚劇場は2069席と、日本有数の大劇場である。この2つの劇場で、週1日の休演日と上演組が交代する合間の数日を除いたほぼ毎日、ミュージカルや舞踊会の公演が行われている。このほか、宝塚バウホール(客席数500)で行う若手中心の実験的な公演や各地の劇場を回る全国ツアーなど、年間30作品ほどが上演されている。

そして宝塚歌劇団を運営するのが、阪急電鉄だ。1914年の創設以来、宝塚歌劇団は現在に至るまで一貫して阪急電鉄が運営してきており、他の企業や団体などの手に渡ったことは1度もない。

一見、華やかなエンタメ産業のイメージからは程遠い鉄道会社が運営してきた劇団がこうして100年間も生き延び、いまや「日本が誇る舞台芸能」と言ってもいいほどのメジャーな存在となったのは奇跡のような出来事だ。しかも、その道のりは決して順風満帆なものではなかった。太平洋戦争をはじめとした存続の危機は何度もあった。近年でいうと、1995年の阪神淡路大震災はホームグラウンドである宝塚大劇場を直撃している。それでも宝塚歌劇は観客の支持を受け続け、そうした危機を乗り越え、結果として100年続いてきたのである。

そのタカラヅカが現在掲げているのが、「作品力」「生徒力」をひたすら磨いていこうという王道の方針である。劇団機関誌『歌劇』2017年1月号に寄稿されている小川友次理事長の「新年の辞」は次のような言葉で締めくくられている。

「今年も『作品力』『生徒力』そして、スタッフを含めたオール宝塚の『総合力』を充実させ、皆様のご期待に沿える舞台をお届けできるよう全力で努めてまいります」

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