自民党も希望の党も「長期展望」がなさすぎる

日本を「60万人×200自治体」に再編せよ

第2のメリットは、選挙区間に否応なしに存在する「1票の格差」を是正できるということです。2017年7月に1票の格差を是正するため区割りを見直した改正公職選挙法が施行されて以降、今回の衆院選は初の選挙となります。ところが、改正された現在の小選挙区の区割りでも、議員1人当たりの有権者数は最大で2倍程度の格差があるのです。

このままでは、地域間の人口減少に開きが生じるたびに区割りを見直さなければならず、新しい区割りが決まるたびに行政区分のズレが顕著になり、候補者や有権者を悩ませ続けることになるでしょう。実際に東京の選挙区では、同じ○○町×丁目でも、□番地と△番地では、違う選挙区になるという事例があるほどなのです。

国民の意識も変わっていく

第3のメリットは、住民たちが国政を身近に感じられるようになるということです。現在の小選挙区制では、基本的にはいくつかの市区町村が集まった区割りの中から1人の議員を選ぶという形をとっています。自分の住む市町村だけでなく、隣の市町村、あるいは隣の隣の市町村も含めて、1つの選挙区が構成されているのです。自分とは縁のない市町村も画一的にひとくくりにされているというわけです。そのような選挙区から選ばれた国会議員を、すべての有権者が必ずしも「地元の代表」という感覚でとらえているとは限りません。

これに対して、60万人規模の自治体を1つの選挙区とし、そこから議員を選出することができれば、より多くの有権者が地元の代表という感覚を持ちやすくなると思われます。

それに伴って、住民の意識も変わっていくでしょう。選挙運動にまったくかかわりがない住民の中にも、選ばれた国会議員を地元の代表としてとらえ、その後の議員活動を注意深く見守るようになる人が増えていくことが期待できるからです。その結果として、今まで政治に無関心だった有権者を掘り起こし、投票率が上がる効用も期待できるのです。当然のことながら、60万人規模の自治体に移行した直後は、多くの住民がその自治体を地元として認識するのは難しいという現実があります。60万人という数合わせが優先されることになるので、一時的には住民間で生活圏のズレが出てしまうことはやむをえないでしょう。

しかし、それは時間が解決してくれます。私の地元である茨城県つくば市も、かつては6つの町村に分かれていました。1987年に誕生して以来、30年が経過しようとしていますが、今では研究学園都市(学術都市)と観光地としての両方の機能を併せ持ち、多くの住民がつくば市という街になじみ、誇りや愛着を持って暮らしているように思われます。

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