国立社会保障・人口問題研究所の試算によれば、将来の出生率が現状の1.44と変わらないと仮定すれば、日本の総人口は2053年に1億人を割り込み、2065年には8808万人まで減少するということです。
ですから最終的には、国内には45万~50万人の自治体が200存在するということになるのですが、ある程度の規模に市町村をまとめることで、各々の自治体は一定水準の労働力や税収が確保できるようになるというわけです。
その結果として、充実しているとはいわないまでも、相応の住民サービスを提供し続けることができるようになり、地域間による労働力や税収の格差、ひいては経済格差が緩和されることにもつながっていくのです。
かつて、全国の市町村を再編する「平成の大合併」では、市町村の数は大幅に減少していきました。1999年3月末に3232あった市町村の数は、2010年3月末には1727にまで減少していったのです。その11年の間に、1つの市町村当たりの人口も、3万9000人から7万4000人へと増加しました。それでも、人口減少社会を乗り越えるためには、依然として1つの自治体の規模が小さすぎるといわざるをえません。その程度ではまだ、大都市と地方の格差を是正するには程遠い状況にあるのです。その後、市町村の再編は一向に進むことなく、2016年10月10日現在の市町村の数は1718とほとんど減っていないのですから、何としても政治主導で市町村の大再編を実行してもらいたいところです。
国会議員の大幅削減と1票の格差、両方を同時解決
そのうえで提案したいのは、国会議員の選出もこの200の自治体の単位で行うようにするということです。1つの自治体につき、衆議院議員と参議院議員を1人ずつ選ぶようにすれば、かなりすっきりした、かつわかりやすい選挙区割りになるのではないでしょうか。この突拍子もないように見える方法には、次に挙げる3つの大きなメリットがあるからです。
まず第1のメリットは、国会議員の数を大幅に削減できるということです。200の自治体で2人ずつ選ぶのですから、国会議員の数は合計で400人になります。現在は衆参両議院を合わせた定数が707人(衆議院465人+参議院242人)ですから、300人以上の国会議員を削減できるようになるわけです。
将来的に日本の人口は3割も減ると試算されているのですから、国会議員の定数はこれくらいの数で十分なのです。2014年4月に消費増税が実施される代わりに、国会議員が身を切る改革をするという約束は、いまだに果たされていません。当時の3与野党(自民党・公明党・民主党)で合意した内容をしっかりと履行することが、政治の信頼を取り戻す第一歩となるのではないでしょうか。
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