ハワイ・欧州にも飛べるLCC「スクート」の実力 大手エアラインも焦る、LCC新時代は混戦模様

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エコノミーの座席の前後間隔は約79センチメートル、横幅は約46センチメートルと、大手航空会社に比べ遜色ない。エコノミーでは有料だが、787全機に機内Wi-Fi、全席に電源用コンセントも備えるなど、通常のLCCよりも設備が充実している。

スクートのエコノミークラス(左)と高価格帯で座席の広い「スクートビズ」(右)(写真:Scoot)

スクートビズは、前後間隔は約96センチ、幅は約56センチのリクライニング可能な座席で、プレミアムエコノミークラスのような位置づけだ。空席状況によっては、エコノミーと数千円の差で買えることもある。Wi-Fiやコンセント、手荷物預け、自分のデバイスでの動画視聴、機内食などが無料になっている。

「たとえ長距離の路線でも、快適性より運賃の安さを取る人は増えている。787は777ほど座席数は多くなく、それでいて燃費が良い。長距離LCCに適した機材だ」。LCCに詳しい航空経営研究所の森崎和則・主席研究員はそう分析する。

LCC最長路線で欧州にも進出

今年6月、スクートはLCCとして世界最長路線となる、シンガポール―ギリシャ・アテネ線を就航し、欧州に進出。坪川氏は「日本から欧州まで、1回の乗り継ぎですべてLCCで行けるようになった」とアピールする。

スクートはアジアだけでなく、欧州にも進出した(写真:Scoot)

今後はロサンゼルスやバンクーバーなど、米国やカナダの西海岸都市への就航も視野に入れている。「各都市から誘致を受けているのは事実だ」(坪川氏)。

平均搭乗率は約86%で、業績も順調だ。スクートの運営会社、バジェット・アビエーション・ホールディングスは2017年3月期に、営業利益で前期比約6割増となる6700万ドル(約75億円)を計上。2割の減益となった親会社・シンガポール航空と明暗が分かれた。

アジアの航空市場は、東南アジアのLCCや中国の大手航空会社の台頭で価格競争が著しく、各社の疲弊が激しい。活路として注目されているのが、中長距離路線というわけだ。

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