中国ネット出前ブームで「事故急増」の教訓 「安全よりスピード」には弊害がある
上海警察当局によると、デリバリーサービス最大手「美団外売」と「Ele.me(餓了麼)」のドライバーが引き起こした事故が、全体の事故件数の4分の1を占めた。
このニュースは全国的な反響を呼び、警察やメディアは一斉に業界を非難するようになった。
南京市の警察は20日、配達員が絡む事故が今年前半だけで3000件以上に達したことを受け、フードデリバリー各社と面会。事故の9割以上は、配達員側に落ち度があったと、国営メディアは報じている。
国営メディア「法制網」は当局に対し、「大衆を動員して」スマートフォンなどのカメラを使い、違反者を通報させ、会社を処罰するよう促した。配達員は、目立つ色の制服を着ているため判別が可能だ。
配達員が蛍光イエローの制服を着ている「美団外売」の広報担当者は、ドライバー向けに安全運転訓練を行っており、7月は300回以上の訓練を実施したと語った。翌月には、事故の発生件数が13・6%減少したという。
「Ele.me」の広報担当者は、配達員には「安全第一、スピード第二」と指導しており、配達員による交通規則違反を記録するシステムを導入、事故を通報した通行人に謝礼を渡す方針を決めたと語った。
スピードが必須
中国の配達員が、米国などで配達員が直面する強盗や銃撃の被害に遭遇することはまれだが、都市部の交通量の多い道路を利用するため、負傷することは多い。
事故の責任は通常ドライバーが負うが、労働運動家や多くのドライバーは、スピードが必須のインセンティブに問題があると訴える。
香港を拠点に中国全土の労働問題を扱う非政府組織「中国労工通訊」によると、苦境を訴える配達員は増えており、賃金改善や事故の際の補償を求める抗議活動やストライキが起きている。