東芝、メモリ売却契約も「不安だらけ」の船出

「関係者の合意得られず」会見は中止に

独占禁止法の問題も残る。各国の審査は一般的に半年ほどとされるが、これは希望的観測でしかない。特に中国では長期化することが多い。

日米韓連合には同業のハイニックスが参加する。転換社債を組み合わせるなど当初は直接議決権を持たないスキームにして独禁法の回避を狙うが、これが中国当局に通用するかは不明だ。

革新機構案のほうがハードルは低かった

売却だけを考えれば、革新機構による新スキームのほうが遙かにハードルは低かった。日米連合への売却の場合、WDは訴訟を取り下げる意向を示していたし、金融機関のみなので独禁法のクリアも容易だ。

にもかかわらず、東芝が日米韓連合を選んだ理由の一つは、WDに対する根深い不信感がある。「これまでにもミリガンCEOが譲歩を約束したが、出してきた契約書にはその内容が反映されていないことが多々あった」(関係者)。ミリガン氏のレターという段階では、WDの約束を信じられなかったのだ。

契約締結を発表するはずの場だったが、具体的な説明は何もなく終わった(写真:今井康一)

もともと東芝のメモリ事業の合弁相手は米サンディスク(SD)だった。WDは16年にSDを買収して親会社になった。技術者集団のSDに対し、M&Aで成長してきたWDは社風も異なる。すでに何人ものSD幹部が退社してしまった。

WDとの訴訟や独禁法を無視できるなら、TMCの売却先として日米韓連合もいいかもしれない。まして、東芝は持分法適用で利益を取り込めるし、東芝の技術者が事業を主導していける。ただ、WDとの合弁が残る以上、同社との関係をまったく断つわけにはいかない現実もある。

契約締結の直前、日米連合の関係者は「船頭多くして船山に上るにならないとよいが」と語っていた。今回のバタバタを見せられると、この言葉は負け惜しみではなく聞こえる。

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