日本人の大半が知らないスゴすぎる自動運転 スイスで世界最先端技術に触れてきた

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スバル「アイサイト」や日産自動車「プロパイロット」など一部メーカーが市販車に搭載している運転支援システムはレベル2相当とされている。一方、アウディの新型A8は、発表時のニュースリリースによると、一定の条件下でドライバーに代わって運転操作を引き受けると明言しており、システムが機能の限界に達した場合にはすぐドライバーに運転操作に戻るよう通知がなされるというから、レベル3に相当する。

運転主体が人間からシステムに移行する。これは大きなステップアップだ。だからアウディの決断はわが国でも注目されるはずと、最初の一報を見たときは思った。

それがあまりニュースにならなかったのは、自動運転技術の搭載が2018年と1年先になること、多くの国でレベル3は合法化されておらず走れない国ばかりだったことに加え、自動運転が機能する条件のためだろう。高速道路あるいはガードレールと中央分離帯のある自動車専用道路で、信号がなく歩行者もおらず、車速は60km/h以下。つまり渋滞している高速道路などに限定されるという条件だったのである。

レベル3の自動運転はすでに公道を走行している

それでも一部の人はアウディの発表は英断と評価していたが、筆者は異なる考えを持っていた。その程度のレベル3なら、すでに公道を走行している例を知っていたからだ。しかし実際にその車両に乗ったことはない。自動運転の書籍を出した以上、確認する必要があると感じ、スイス南東部の都市シオンに向かった。

市内を走るアルマ(筆者撮影)

シオンは人口約3万人という山に囲まれた小さな街で、ジュネーブから鉄道や自動車で約2時間の場所にある。自動運転車が走るのは旧市街で、使用している車両は日本でも7月にソフトバンクグループのSBドライブなど東京で実験走行を行った仏ナビヤ社のアルマだ。

黄色を基調としたボディカラーは市内を走る路線バス「ポストバス」と同じだ。ポストバスはスイス国営の郵便会社が、郵便物と旅客をいっしょに運ぶために走らせているもので、郵便専用車も同じ黄色になっている。

アルマは15人乗りの電気自動車で、ハンドルもペダルもない。日本ではシステムが運転する完全自動のレベル4と位置づけられている。しかしスイスでは現状、運転手のいない車両の公道走行は認められていないので、オペレーター役の男女が乗っていた。公道を走るのでもちろんナンバープレートを装着していた。

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