プロが選ぶ「2017年秋必見の仕事ドラマ3作」 「逃げ恥」ブームの昨秋を超える力作ぞろい
地道な挑戦を続け、視聴率や視聴者からの支持をジリジリ上げているTBSも、“らしい”ラインナップ。老舗足袋企業の社長が、会社の生き残りを賭けて奮闘する池井戸潤さん原作ドラマ「陸王」(日曜21時~、役所広司主演、10月15日スタート)。6人の演技派女優が、仲間の冤罪を晴らすために大企業の社長を誘拐する宮藤官九郎脚本ドラマ「監獄のお姫さま」(火曜22時~、小泉今日子主演、10月17日スタート)。産婦人科の医師や看護師らが命と向き合う医療ドラマ「コウノドリ」(金曜22時~、綾野剛主演、10月13日スタート)。
戦略として見えてくるのは、池井戸潤×役所広司、宮藤官九郎×6人の演技派女優、綾野剛×命という化学反応。その結果、「陸王」はどこまで熱さを生み出せるのか、「監獄のお姫さま」はどこまで脱力を呼べるのか、「コウノドリ」はどこまで感動を誘えるのか。いずれも野心的な作品であり、会社全体の上昇ムードを象徴する攻めの姿勢が感じられます。
シリーズのテレ朝、硬派路線のフジ、わが道のテレ東
TBSが攻めなら、テレビ朝日は守り。しかも、かなり堅固であり、なおかつ手堅くもあるシリーズ作をそろえました。シーズン16に突入する「相棒」(水曜21時~、水谷豊主演、10月18日スタート)、17シーズン目を迎える「科捜研の女」(木曜20時~、沢口靖子主演、10月19日スタート)、5シーズン目の「ドクターX~外科医・大門未知子」(木曜21時~、米倉涼子主演、10月12日スタート)。
もはや説明無用の強力シリーズであり、「固定ファンをガッチリ囲い込もう」という狙いが見えます。これは「もともと固定ファンの多い刑事・医療ドラマを量産し、なかでも反響の大きい作品を選んで長期シリーズに育てあげる」というロングスパンの戦略。他局がさまざまなジャンルの連ドラを制作する中、「マンネリ」などの声にもブレない姿勢は特筆すべきものがあります。
視聴率やイメージの低迷が続くフジテレビは、夏期にヒットした「コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」に続きたいところ。市議を目指す主婦が、社会問題に切り込む政治エンターテインメント「民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~」(月曜21時~、篠原涼子主演、10月16日スタート)。スクールカウンセラーが生徒の死を究明するサスペンス「明日の約束」(火曜21時~、井上真央主演、10月17日スタート)。凸凹コンビの刑事が事件解決に挑む「刑事ゆがみ」(木曜22時~、浅野忠信主演、10月12日スタート)。
政治、学校、事件がテーマの硬派路線であり、「視聴者の身近な問題に寄り添ったドラマを作ろう」という戦略が見えます。「業績が苦しいときほど、取引先や消費者の声に耳を傾ける」というビジネスセオリーとしては正解。しかし、視聴者に身近なテーマは、少しでも方向性を間違えると、「全然わかっていない」と言われるなどシビアな目で見られるだけにリスクもあります。
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