安倍首相、消費税の使途変更を争点に解散へ 25日会見での首相発言全文と質疑応答
そのツケを未来の世代に回すようなことがあってはならない。
人づくり革命を力強く進めていくためには、その安定財源として、再来年10月に予定される消費税率10%への引き上げによる財源を活用しなければならないと判断した。2%の引き上げにより5兆円強の税収となる。
現在の予定では、この税収の5分の1だけを社会保障の充実に使い、残りの5分の4である4兆円余りは借金返済に使うこととなっている。この考え方は、消費税を5%から10%へと引き上げる際の前提であり、国民の皆様に約束していたことだ。この消費税の使い道を、私は思い切って変えたい。子育て世代への投資と社会保障の安定化とに、バランスよく充当し、併せて財政再建も確実に実現する、そうした道を追求していく。
増税分を借金の返済ばかりではなく、少子化対策などの歳出により多く回すことで、3年前の8%に引き上げた時のような景気への悪影響も軽減できる。
他方で、2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)黒字化目標の達成は困難となる。しかし、安倍政権は財政再建の旗を降ろすことはない。PBの黒字化を目指すという目標自体はしっかりと堅持する。引き続き、歳出・歳入両面からの改革を続け、今後達成に向けた具体的な計画を策定する。少子高齢化という最大の課題を克服するため、わが国の経済社会システムの大改革に挑戦する。私はそう決断した。そして、子育て世代への投資を拡充するため、これまで約束していた消費税の使い道を見直すことを本日決断した。国民の皆様との約束を変更し、国民生活に関わる重い決断を行う以上、速やかに国民の信を問わねばならない。そう決心した。
選挙が北朝鮮の脅かしで左右されてはならない
28日に衆議院を解散する。国民の皆様は北朝鮮の度重なる挑発に対して、大きな不安を持っておられることと思う。政府として、いつ、いかなる時であろうとも、危機管理に全力を尽くし、国民の生命と財産を守り抜く。もとより当然のことだ。
他方、民主主義の原点である選挙が、北朝鮮の脅かしによって左右されるようなことがあってはならない。むしろ私は、こういう時期にこそ選挙を行うことによって、この北朝鮮問題への対応について、国民の皆さんに問いたいと思う。わが国を飛び越える弾道ミサイルの相次ぐ発射、核実験の強行、北朝鮮による挑発はどんどんエスカレートし、その脅威はまさに現実のものとなっている。
こうした中、私は、国際社会の連帯をより強固なものとするため、米国、韓国はもちろんのこと、中国、ロシア、インド、欧州、中東、アジアの首脳たちと対話や協議を重ねてきた。そして先般、国連安保理が、原油や石油製品の輸出制限を含む厳格な制裁措置を全会一致で決定した。まず、これを完全に履行する。