安倍首相、消費税の使途変更を争点に解散へ 25日会見での首相発言全文と質疑応答
問)消費税の使途変更の件で、プライマリーバランスの黒字化目標達成が困難だという考えを示す一方、財政再建の旗は降ろさないと話した。なぜ、借金返済分ではなく、他の費目を削って教育無償化の財源にしないのか。格差の固定化を防ぐという目的から、高等教育だけではなく幼児教育に関しても、3歳から5歳の部分に関しても、所得制限を設けた方が良いのではないか。教育の質の確保の観点から、無償化の対象となる高等教育、大学や専門学校に関しては学校の選別、線引きをすることは考えるか。
大胆な改革が必要だ
答)少子高齢化という最大の壁に挑戦するわけである。その少子高齢化と言う最大の課題を克服するためには、わが国の社会経済システムを大きく転換させなければならず、大胆な改革が必要だ。
財源については10%引き上げ時の消費税増収分を充当することとした。増収分を借金返済と、これはいわば社会保障の安定化でもありますが、子育て世代への投資とにバランスよく充当し、併せて財政再建も確実に実現する考えだ。
確かに、予算の無駄を省くことは当然だが、これだけ大きな予算、他の予算を削るだけで出てくるかどうか。あるいは他の予算から削ってきたもので充当しようとすると、残念ながらその規模は小さくなってしまう可能性もある。私たちは無駄遣いをなくせば2兆円出てくる、と無責任なことを言うわけにはいかない。
もちろん無駄遣いはしてはならない。その中で例えば私たちは、社会保障の伸びを抑えるということによって、1兆円伸びるものを5000億円以下に抑えている。これは小泉政権当時の2200億円よりも多くの伸びを抑えている。
その上において、これだけ大きな改革を行うので、予算については安定財源をあらかじめ示さなければならない。
繰り返しになるが、まだ目途もないのに他の予算を削って2兆円を出すという無責任なことを言うべきではないと考えている。
また幼児教育の無償化は、若い子育て世帯を応援し、社会保障を全世代型へ抜本的に変えるために一気に進めていく必要があると考えている。広く国民が利用している、3歳から5歳児の幼稚園、保育所については全面無償化する。
また、0歳から2歳児についても、待機児童の解消を進めるとともに、所得の低い世帯について保育所無償化を行うことを考えている。高等教育については、格差の固定化を防ぐため、どんなに貧しい家庭に育っても、意欲さえあれば、専修学校や高等教育、大学にも進学できる社会に変革しなければならないと考えている。つまり、より多くの人たちが、その才能を生かせる社会にしなければ、少子高齢化社会を乗り切っていくことはできない。
真に必要な子どもに限って、高等教育の無償化を必ず実現していく考えだ。そして、無償化対象とする大学の線引きについてであるが、高等教育無償化について、真に必要な子どもへの支援を線引きすることは考えていないが、同時に大学改革も強力に進める必要がある。その実効性も上げなければならないと考えている。
いずれにせよ、詳細な制度設計は政府・与党において詰めていきたい。