10月以降の米国経済、「嵐を呼ぶ男」に注意 長期金利上昇は続かず、ハリケーンは続く

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ところで2005年のハリケーンには特記事項がもう1つあり、27個も発生したことだ。

ハリケーンは、大西洋北部で発生した熱帯低気圧のうち、最大風速が64ノット(約33メートル毎秒、約74マイル毎時=約119キロメートル毎時)以上、カテゴリー1以上のものをいう。ハリケーンには、1年に1組ずつ、6年周期で使用する名前リストがある。偶数年は男性名、奇数年は女性名で始まり、Aからアルファベット順で男女名が交互に命名される(Q、U、X、Y、Zは除き21個)。1979年以前は、女性の名前だけが使われていたが、男女同権という観点から、交互に使われるようになった。

ただし、特に大きい被害をもたらしたハリケーンの名前は、永久欠番(リストから名前を削除)となる。たとえば、2005年のKatrinaはもう二度と使われることはない。

2017年は奇数年(6年周期で2011年と同じリスト)なので、Arlene(女性)から始まって、Harvey(男性)、Irma(女性)、Maria(女性)で13番目だ。今後発生すればNate、Ophelia、Philippe、Rina、Sean、Tammy、Vince、Whitneyとマイアミにある米海洋大気圏局ハリケーンセンターが名付けていく予定だ。

2005年の場合は、リストの最後のWilmaまでいき、初めてギリシャ文字を使用することになった。2005年10月22日には22番目のAlpha、10月27日には23番目のBeta。最終的には12月31日に27番目のZetaに至っている。ハリケーンシーズンは9月で終わらず、10月もあることを忘れてはならない。

まだ気象というワイルドカードに要注意

前回コラムで指摘したように、今年は世界的に異常気象であり、経済・物価見通しに影響を与える可能性があることを念頭に置く必要がある。たとえば、10月にも大きな被害をもたらすハリケーンが上陸すれば、10月分の指標は悪化する。復興の時間帯が後ずれし、成長率は7~9月期が落ちて、10~12月期は上がるという単純な動きとはならないだろう。またエネルギー価格が短期的に再び上昇することになれば、物価の実力が見えにくくなる。 

その一方で、トランプ政権にとっては、危機対応がしっかりできれば支持率を上げる絶好の機会となる。また協議が難航している予算が、まとまるきっかけになるかもしれない。気象はやはりワイルドカードだ。トランプ大統領が就任してから8カ月余り、幾度となく相場に嵐を起こしてきたが、まさか本当に嵐を呼ぶ男になってしまうのか。この秋も目が離せない。

岩下 真理 大和証券 チーフマーケットエコノミスト

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いわした まり / Mari Iwashita

慶應義塾大学商学部卒業後、太陽神戸銀行(現・三井住友銀行)入行、市場部門で国内経済、円金利担当のエコノミストを経験。2007年4月大和証券SMBCで日銀ウォッチャーを担当。2009年に日興コーディアル証券でチーフマーケットエコノミストとしてホールセール調査の立ち上げに参画。2011年4月SMBC日興証券チーフマーケットエコノミスト、SMBCフレンド証券を経て2018年1月より大和証券、現職。総務省・消費統計研究会委員。ロイター・コラム、時事通信「円債投資ガイド」を定期的に執筆中。仕事のモットーは3つ。(1)世界地図の上で物事を考えること、(2)ホットで付加価値のある情報提供と分析、(3)わかりやすく楽しい経済解説。アネクドータルな情報収集に加え、経験値と好奇心のフル稼働で潮目の変化を読み解く。趣味は世界遺産巡りで、パンダ好き。かつては歌姫、意外にもボーリングは得意?!

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