漆百科 山本勝巳著

漆百科 山本勝巳著

ジャパン(ただし小文字のjapan)といえば漆(うるし)または漆器のことである。かつて漆は膳、盆、椀、屠蘇器、文箱から工芸品まで生活のそこここにあった。しかし今、漆塗りは庶民の生活から遠ざかる一方で、木粉か樹脂成型した素地に化学塗料を塗った合成漆器が家庭を席巻している。

日本の誇る漆文化についての書物は多いが、本書は化学産業を専門分野とし鎌倉彫を趣味とした著者が、漆と漆器の歴史的考察を踏まえ産業論的視点から集大成したもので、漆と漆器にかかわる意外な事実が興味深くつづられている。

漆製品は気品があって使うほど味が出るが、紫外線と乾燥に弱く家庭での管理が難しい。しかも原料漆は99%を輸入に頼らざるをえない。そして漆を使った漆器の生産は縮小を続けている。そんな現実を直視すれば、化学製品の正確な理解と使用(ノーブルユース)こそが漆器産業の再生、復権に不可欠である等々の分析、提言は貴重である。(純)

丸善 1995円

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