43歳男性「子供が欲しい」で始めた婚活の結末 「婚活よりも妊活のほうがずっと辛く苦しい」

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ささいなことでのけんかも絶えなくなり、普段の夫婦の会話もギクシャクしていったという。

「2回目に流産したとき、妻は精神的に本当につらそうで……。3日間くらい彼女は泣きっぱなしでした。不妊治療って結果が見えないし、何回やったら成功するというのも約束されていない。このまま失敗し続けたら、その度に香苗は心も体も傷ついていく。さらにおカネもかかる。『なにもそこまでして子どもを授からなくてもいいのではないか。もうこの苦しみから解放されよう』という気持ちになったんです」

「これからの人生は、2人で仲良く暮らしていこう」。それが話し合いの末に、2人で導き出した答えだったという。

結婚はいつでもできるが、出産には期限がある

結婚はいつでもできるが、出産には期限がある。晩婚化により、高年齢出産が増加しているといわれて久しい。不妊治療の技術は年々目覚ましく進歩しているが、年齢が上がれば出産へのリスクも高まるのは、どんなに医学が発達しようとも否めない事実だ。高年齢出産は、“妊娠しにくい”、“流産しやすい”、“ダウン症などの染色体異常児が発生する確率が高くなる”という問題も抱えているし、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの、胎児と妊婦の命にかかわる病気にもなりやすい。たとえ妊娠がうまく進んだとしても、早産の確率が上がるとも指摘されている。

どんなに医学が発展しようとも、アンチエージング医療で見た目の若返りが可能になろうとも、体が年齢とともにリアルに老いていくことを止めることはできないのだ。

私事で恐縮だが、筆者も36歳で結婚をし、できるだけ早くの妊娠と出産を望んでいた。最初は基礎体温をつけ、タイミング療法で自然妊娠することを試みたが、なかなか妊娠しなかった。1年後にやっと妊娠したものの、9週目で流産をした。2回目の妊娠は38歳になってからで、これもまた流産。

産婦人科医からは、「年齢的に時間を無駄にはできない。不育症かもしれないから、体を調べなさい」と助言され、大学病院の不育症外来に通った。しかし不育症にあたる特定の原因は突き止められず、そのとき医師に、こう説明された。

「流産する確率は、思いのほか多い。一般的には妊娠の約15%が流産となる。35歳以上になるとその確率が上がり、35~39歳では20〜30%、40歳以上では40%以上の確率で流産するといわれている。あなたの場合、38歳だから30%と考えたときに3回の妊娠で1回は流産するという計算になる。不育症というよりは、年齢的な要因が大きい」

この説明を聞いて、不育症ではなかったことに安心しつつも、年齢的にこの先妊娠し出産することは不可能なのではないかと、絶望的な気持ちになった。

そこから、漢方薬を飲んだり、定期的に病院に通って妊娠しやすい体づくりを心掛けたりした結果、40歳のときに自然妊娠をし、それが双子だった。過去の経験から“また流産するかもしれない”と心配で毎日を不安な気持ちで過ごしたが、5カ月目で安定期に入り、少し安心をした。

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