親が描く幸福の形から外れそうな結婚は不幸で恥だと反対するのは、ますますナンセンスな時代を私たちは生きています。親に反対され勘当されて、国際結婚をした人で円満な家庭を築き、幸福に暮らしている人は山ほどいます。
私の友人では、日本で何代も続いた医者の三女と、高校を中退して駆け落ちして「国際結婚」した、在日コリアンの前田氏(仮名)はその代表です。前田氏は裕福な家庭出身の愛妻を幸福にしたい一心で、ありとあらゆる仕事を転々としました(まったく苦労と感じなかったそうです)。そして自力で小さな土建業を起こし、それを徐々に大きくして事業に成功しました。
その頃には親の望む結婚をした長女と次女は、夫婦仲が悪かったり勤務していた会社の倒産などで、実家両親との仲もぎくしゃくしていました。医院を畳んで隠居中の前田夫人の両親は、家庭円満で公私ともに絶好調の前田氏夫妻をいちばん頼りにし、前田氏夫妻も喜んで、親と交流しているそうです。前田氏との結婚を猛反対された過去があるだけに、実家との交流で、彼らの幸福度が増したと言います。先のことなど誰にもわからず、親の従来の価値観に沿った結婚など、実は何も保証していません。
人生の幸福の本質とは?
私は「世界の村で発見!こんなところに日本人」というテレビ番組をよく見ます。特に日本よりずっと不便な“はるかな未開の地”で、文化も大きく異なる国の男性と結婚し、その国でその不便や違いをむしろ楽しむかのように、そして夫婦慈しみ合い生活している女性たちの逞(たくま)しさに、感動しています。
彼女たちは、人生の幸福の本質を教えてくれています。この人たちに「結婚相手が日本の近隣国の国籍所有者なら不幸になり家族の恥になると決まっていますか?」などという問いなど、恥ずかしくてできたものではありません。
おそらく、ご両親は文化や風習の違いも心配しておられるでしょう。しかし日本人同士の結婚でも、育った家風の違いなどで、摩擦が起こることがよくあります。問題はそれらの違いを、障害や優劣の基準で見るか、(大げさに言えば)異なった文化の出会いと見て学び、楽しむ対象として見るかです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら