「安倍改憲」が支持率の回復で息を吹き返した 北朝鮮危機に民進党新体制も首相の追い風に
世論調査結果をみると国民の多くが憲法改正の必要性は認めるが、「安倍改憲」の強行には抵抗感が強い。これは首相がタカ派の筆頭とみられているからだが、首相周辺ではそうしたイメージを払拭させるため、党内リベラル派の代表とされる谷垣禎一元幹事長の協力を期待しているとされる。
谷垣氏は不慮の自転車事故による負傷ですでに1年以上入院してハビリを続けているが、側近は「臨時国会召集時には車いすに乗ってでも姿を見せ、政治活動も再開する」と明言した。谷垣氏が表舞台に復帰すれば、首相は「高村氏と並ぶ改憲論議のまとめ役として活動してもらう」との考えとされる。谷垣氏を党憲法改正推進本部の最高顧問などに起用して党内論議の前面に立てれば「改憲に関する国民の安心感が広がる」(首相側近)との狙いがあるからだ。
「最大のレガシー」実現は成るのか?
トリプル補選が自民全勝で終わり、北朝鮮危機が対話路線に転じて日本の地政学的リスクが薄れれば、株価も上がり、さらなる内閣支持率アップにもつながる。9月下旬の国連総会での首脳外交や11月上旬が見込まれるトランプ大統領の初来日などで成果を挙げれば、首相の求心力も強まる。そうなれば来年9月の自民党総裁選での「3選」の機運も高まる。通常国会での改憲発議が実現すれば、3選直後の臨時国会での冒頭解散による衆院選と併せての改憲国民投票実施という「首相のベストシナリオ」への可能性も広がる。史上最長政権による憲法改正という「最大のレガシー(政治的遺産)」実現も夢ではなくなるわけだ。
しかし、支持率急落の原因ともなった「森友・加計問題」は一向に解明が進まず、首相による「真摯な説明」も実現の気配がない。同問題に絡む新たな疑惑も浮上する中で、政府与党自らが隠蔽工作に走っているような印象を与えれば、再び支持率が低下し、首相も求心力を失いかねない。
公明党の山口那津男代表は13日、訪問先のモスクワで「国民と国会議員の幅広い賛同がなければ(憲法9条改正は)難しい。2020年までに憲法改正が実現するかどうかも見通すことができない」と語った。夏以降の政治環境の好転で息を吹き返したように見える「安倍改憲」だが、今後も首相らの思惑どおりに進むかはなお予断を許さないのが実情だ。
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