日米同盟への「過度な依存」は危なくないのか

中東情勢から学ぶ外交サバイバル術

つまり、サウジ・パキスタンは事実上の同盟関係にあるとみなされてきたのである。ところが、2015年にサウジが隣国イエメンへの軍事介入に際してパキスタンに派兵要請したのに対し、同国はこれを拒否。

サウジは同盟相手の思わぬ仕打ちに遭った形となり、以後、インドや中国、ロシアとの関係強化を模索するなど、対外政策が大きく変わる出来事となった。パキスタンの裏切りの衝撃は、台頭するイランを前にサウジにとって大きかったはずである。

そのパキスタンにとっては、核弾頭の数を競い合うインドが安全保障上の最大の懸念だ。インドとの緊張が高まった際に、イランが軍を動かせば、2正面作戦を強いられることになる。中東の宗派間対立に深入りして、イランを刺激し、結果的に自国の安全保障環境が悪化するのは避けたいという計算があったと見られる。

米政権の「変心」にカタールは…

6月に勃発したカタールと、サウジなど4カ国が断交した外交危機も、同盟関係の有効性に疑義を呈する大きな動きとなった。カタールの首都ドーハ近郊にはアルウデイド空軍基地があり、米軍の特殊部隊や、空軍部隊を指揮する地域司令部など約1万人規模が駐留している。

カタールの「人口」は、国民約30万人に、移民労働者を加えても約270万人しかいない。こうした中、米国との同盟関係を基軸に据えつつ、富を惜しまず、衛星テレビ局アルジャジーラを通じた積極外交を安全保障政策の要としてきた。

一方、サウジは、ドナルド・トランプ大統領が5月に訪問した際、カタールの外交は結果的に「テロ支援」につながっていると説得することに成功。これをカタールに対する経済封鎖へのゴーサインと受け止め、断交に踏み切った。カタールは、政権交代による米国の思わぬ「変心」に、同盟関係の脆弱性を知ることとなったわけだ。トランプ大統領の言動に振り回されている日本とも重なるところがある。

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