日米同盟への「過度な依存」は危なくないのか

中東情勢から学ぶ外交サバイバル術

イスラエルは、占領地のヨルダン川西岸で国連決議を無視したユダヤ人入植地の拡大も続けている。ユダヤ人右派の政治力学を反映したものでもあるが、西岸にある入植地の存在はイスラエルの安全保障の要でもある。

イスラエルの国土は狭隘(きょうあい)で戦略的縦深性に乏しい。最短区間である中部の都市ネタニヤと、西岸のパレスチナ自治区トルカレムの区間は約16kmしかない。入植地の多くは、戦略的な高地に位置している。近隣諸国と一戦を交える場合の戦略的縦深性を確保するためだ。こうしてイスラエルは、米国との同盟関係には過度に依存せず、国民の総力戦で生き残りを模索している。

ミサイル防衛だけとっても、短中距離ロケットを迎撃する「アイアンドーム(鉄のドーム)」システムから始まり、 大気圏外で長距離弾道ミサイルを迎撃できる「アロー3」まで少なくとも4重のミサイル防衛網を築いている。北朝鮮が核保有国として国際社会で認定されれば、イランをはじめ一部の中東諸国が核保有に走り、現在の核不拡散体制が揺らぐとの想定も視野に入れているためだ。

サウジアラビア外交も変質

筆者が通信社のエルサレム支局に勤務していた2000年代、イスラエルは周辺のイスラム過激派が飛ばすロケット弾のなすがままだった。こうしたロケット弾攻撃を防ぐため、イスラエル軍はパレスチナ自治区ガザ地区に大規模侵攻したが、パレスチナ側、イスラエル軍側双方に大きな被害をもたらした。それが今では、アイアンドームの迎撃成功率は約9割に達しているという。もはや、ロケット弾攻撃をほぼ無力化してしまったのだ。

一方、サルマン国王が王位を継承してから、サウジアラビアの外交は、大きく変質している。これは2015年に起きた出来事が転換点になっている。

イスラム教スンニ派の盟主を自認するサウジと、シーア派大国イランは、1979年のイラン・イスラム革命以来、犬猿の仲で、サウジはイランと約900kmの国境を接するパキスタンの核開発に秘密裏に資金援助してきた。イランが核兵器の開発に成功した際には、パキスタンがサウジに「核の傘」を提供するという密約が存在するともいわれてきた。

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