しかし、わが国の会社は、ただ単なる名誉役職的なポストが多すぎるのは事実。もちろん、役職名にふさわしい活動をしておられる方も承知しています。その肩書で、社会で活躍し、大いに会社の名誉に貢献している方も知っています。そのような方々は、それはそれで否定するものではありませんが、そのポストに就いて、「院政」を続け、経営陣の活動を拘束したり、批判したり、揚げ句の果ては、人事にも口出しし、いつまでも影響力を及ぼそうとする人もいます。
なかにはその逆で、10時ごろ出社して、新聞を読んで、昼ご飯を食べて、時折電話して、時折訪問者と話をし、日曜日のゴルフの呼びかけをしている。そして、3時ごろになると、退社する。そういう人もいます。社用車を使い、部屋をあてがわれ、秘書を持ち、ときに社費で、出張という名目で、旅行をする。その会社に、何ら貢献していないと言うと、言いすぎかもしれませんが、そのような人もいます。しかし、もうそろそろ日本の企業も、そのような役職を廃止するべきではないかと思います。
相談役と顧問は社員全員にとって迷惑
社員の人たちが、汗水たらして稼いだおカネで、そのようなあまり意味のないポストに就き、無駄なおカネを使う。そのことにそのポストに就く人たちは、恥ずかしくないのかと首をかしげます。今まで、この会社に貢献してきたから当然だろうというのなら、社員全員が、会社に貢献して定年を迎えています。全員参与、全員顧問ならばわかりますが、ある特定の地位であった人たちだけが、それらの役職に就くのは、実に不公平であるばかりか、会社および社員全員に負担と迷惑をかけ、それだけでなく、会社の未来への投資資金にも悪影響を与えていると思います。
反対意見もあるようです。相談役・顧問などを廃止すると、社長として居座る人が出てくる。結果として、経営が停滞するというもの。しかし、それは社長在席定年制を採ればいいだけのことでしょう。
取締役の数を減らす。最小限にとどめていく。大抵の会社はその流れになっています。いい流れだと思いますが、これからは、そのような名誉会長、相談役、顧問、参与などといった役職を廃止する、あるいは少なくとも最小限に抑えていく努力を、日本の企業はしていかなければ、グローバル競争に敗れるだけでなく、賢くなってきた社員の批判に耐えられなくなるのではないでしょうか。
上場企業874社を対象にして、経済産業省が昨年2016年に実施した調査では、78%の企業に相談役や顧問などの役職ポストがあり、そのうち20%が見直しを検討中と回答したとありますが、むべなるかな、と思います。また、同省の研究会でも「ハッキリ言ってすべて害悪」という厳しい意見も出ています。各社の株主の人たちも、総会でそのような要求をしはじめました。今年、相談役や顧問の廃止を求める提案があった主な会社は6社。これから、次第にそのような株主提案は強くなると思います。
日経新聞の実施した「社長100人アンケート」によると、「このような制度を廃止する 2.8%」「削減する 5.6%」「制度を変えない 68.4%」となっていますが、当たり前でしょう。社長が「制度を廃止する」などとなれば、明日のわが身に響きますし、ましてや、現相談役、現顧問の目は意識するでしょう。しかし、流れは、この制度、役職の廃止でしょう。
わざわざ株主総会で指摘、要求される前に、どこの会社も、大中小零細を問わず、自主的な努力で、このようなほとんど意味のない、また、社員に負担をかける制度の廃止に対処すべきではないかと思います。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら