『あの花』ヒットの緻密な仕掛けとは?

アニプレックス・斎藤俊輔プロデューサーが語る制作秘話(下)

ラブコメというよりは、良質な作品であることを打ち出しています。もちろん内容を見てもらえば、そこだけではない、いろいろな物語の厚みやキャラクター、もちろんラブコメの要素もあるんですが、外面としてはデザインを含めて、良質感というのは意図して演出しています。

――劇中に「サッポロ一番塩ラーメン」「ガリガリ君」といった実在する商品が登場しますが、あれは当然、意図的に入れられたんですよね?

そうですね。これも2つ理由があって。ひとつは脚本の岡田さんがシナリオに既存の食べ物をどんどんと入れてきたということ。「ケンちゃんラーメン」や「カントリーマアム」とかも子供のころに接するじゃないですか。そういう食べ物をそのまま登場させられたら面白いよねということで、クリエイティブな面白さという面がひとつ。

そしてもうひとつの意図としては、そういうものが登場することによって、ある意味『あの花』に市民権を得させたいという思いがありました。そういうきちんとした企業が作っているものを出せるようなアニメなのだと。その両面ですね。実際に僕がメーカー各社に連絡をして、シナリオや作品の説明をしてうえで、出させていただけませんかと交渉しました。ですから、許可をいただいた企業の商品は全部出てきます。

キーワードは「懐かしさ」

――適度にロングセラー感のある物が散りばめられていることで、懐かしさがありながらも、やはり現在の物語であることも感じさせます。

懐かしさという意味では、やはり岡田さんの意図がすごく大きいのでしょうね。

(C)ANOHANA PROJECT

――逆にいうと許可が取れなかったところもあるのでしょうか? 劇中には「ワクドナルド」というバーガーショップが出てきますが。

それに関しては、もともと秩父にファストフード店がなかったからです。その場所にファストフード店があれば、当然、相談しに行くのですが。もとからないものを出すことに整合性を取るのが難しいと思ったので、出すのはあきらめました。

――では、「ポッキー」が「ロッキー」になったのは?

それは僕の時間不足です。そこは詰めが甘かったですね。

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