もうひとつの理由は「優秀人材の獲得」である。企業はこれまでの採用によって、どの大学の学生が入社後に活躍したかのデータを持っており、その実績がある大学から採用したいと考えている。
出身大学と入社後の活躍を定量分析している企業は少ないかもしれない。しかし、人事部の多くの人間は、自分が採用した学生のことを気にかけている。「活躍している○○さんと同じ大学」に親しみを持つだろうし、採用したことのない大学にはなかなか関心が持てないのも事実だろう。
学生の声を聞いてみよう。HR総研が今年6月に楽天「みんなの就職活動日記」と共同で行ったアンケート調査がある。2018年卒業予定の就活生約2500人に対して、「企業の学歴フィルターを感じたことがあるか」を聞いたところ、全体の55%が「ある」と回答している(詳細はこちら)。
約半数なのだが、旧帝大クラスや早慶クラスでは「ある」と答えた学生が多く、およそ3分の2となっている。ただし、これは上位校の学生にフィルターがかかり、除外されているわけではない。旧帝国大学や早稲田・慶応大学クラスでは、選考が進んでいく過程で、自分が優遇されていることを実感するのだ。
フィルターに気付くのは選考に”残る”学生
学歴フィルターが存在し、上位校の学生が優遇されていることは、就活生のコメントに現れている。
「エントリーシートが通過しやすかった。リクルーターが大学別につく」(一橋大学、文系)、「同時刻でも座談会の予約がすでに満席表示の人と余裕がある人がいた」(東北大学、文系)、「抽選で参加できる見学会に、上位校の人しかいなかった」(大阪大学、文系)、「まったくwebテストができなかったが、次の選考に進むことができた」(早稲田大学、文系)、「プレエントリー後、即リクルーター面談の連絡が来た」(名古屋大学、理系)といった声である。
「説明会の抽選に漏れたが、わざわざ空き日程を案内された」のは早大生。「自分は東大なのでESが通りやすいと感じた(インターン含む)」(東京大学、理系)、「自身が参加した企業の説明会、面接には、旧帝大、東工大、早慶がほとんどであった」(東北大学、理系)という声もある。また、「適当に予約した説明会が、特定の大学限定の開催だったこと。学生側は、誰もそれを知らなかったことより、秘密裏に集められたと感じた」(早稲田大学、文系)。そこに集まった学生にだけ、大学で選別されたことがわかるのだ。
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