「苦しんで学ぶ英語」はどう考えても非効率だ 「ひたすら学習」より"星占い"のほうがいい

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最後の「新たな英単語を増やす」ですが、確かに英語力の向上には語彙力が欠かせません。でも、新たな単語をやみくもに増やすよりも、「今すでにあるもの」を生かしたほうが、効率的で無理や無駄がありません。

ところで、ネーティブの語彙数はどのくらいかご存じですか? 諸説ありますが、大卒で2万〜3万語です。ちなみに、日本人の英語同時通訳者は1万〜1万5000語、TOEICなど各種英語試験の高得点者は8000語が目安です。

多く感じますか? でも、学習指導要領では高校卒業時に3000語、大学受験には約5000語が必要と言われていますので、決して皆さんの語彙力が極端に低いわけではありません。

だからこそ、ただやみくもに単語の数を増やすよりも、もっと重要なことがあります。それは「類義語の使い分け」です。すでに知っている単語を本当の意味で「使える単語」に変えることが、語彙力向上の鍵です。

たとえば、「教える」を意味する英単語を調べてみると、teach、educate、instruct、tellなどがあります。それでは、それぞれの単語を的確に使い分けられるでしょうか? 漠然とこれら単語の意味を「教える」と覚えていても、なかなか使いこなせるようにはなりません。

駅までの道を聞きたいときに、”Could you teach me how to get to the station?”と尋ねたら、どんな意味になるでしょうか?

teachは、「レッスンを通して教える」ことですから、「道を覚えるために、レッスンに行っていいですか?」と尋ねてしまうことになります。正しくは、「情報を教える」という意味のあるtellを使います。

「すでに知っている単語では足りない」と新しい単語を増やすほうにばかり意識が向きがちですが、知っている単語を最大限に活用して、そのうえで新たな単語を足していくことをお勧めします。

自分に合う「楽しく続けられる方法」を見つけた者勝ち

最後に、筆者がいかに脱却できたかというエピソードをご紹介します。ドM体質のパターンで書いた3番目の話とも関連しますが、私自身の英語力が伸びたきっかけは、本当に読みたい英語の文章を見つけたことでした。

かつては、英字新聞に載っている単語をノートに書き写したり、難しそうな英文学作品に挑戦してみたりしましたが、どれもいわば「立派すぎる」目標だったために、続きませんでした。何度も挫折したのです。気合いの入りすぎた英字新聞による学習は、たった2日で終わりました。

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