トラック大事故を防ぐ「後付けカメラ」の実力 米インテルが買収したイスラエル企業が開発

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今年1月に発売されたモービルアイ570は、すでに国内で約3000台を販売。三菱ふそうはモービルアイの国内販売代理店、ジャパン・トゥエンティワン(J21)と提携し、既販車にも導入できる仕組みを整えた。全国で走っている100万台の三菱ふそう車のうち、年間2000台のペースでの取り付けを目指す。

サービス工場に取り付けノウハウを提供

使用状態にばらつきのある既販車に、正確に動作するようにシステムを取り付けるにはノウハウが必要だ。そこでJ21が抱える約500人の技術パートナーを三菱ふそうの販売・サービス拠点に派遣し、整備士向けの講習会を開くなどのサポート体制を敷く。三菱ふそう以外のトラックを保有する顧客も少なくないため、要望次第では他社製の車にも取り付けを行う考えだ。

他社製の車への取り付けが進み、J21がほかのトラックメーカーとも組むことになると、先行した三菱ふそうの優位性が失われるおそれもある。だが、三菱ふそうとしては販売済みの中小型トラックの安全性を強化できるメリットを優先した。

三菱ふそう、モービルアイ、ジャパン・トゥエンティワンの3社による記者会見の様子(記者撮影)

三菱ふそう・カスタマーサービス本部で純正アクセサリーなどを担当する田中康博部長は、「モービルアイとの関係は、米国で小型トラックに製品を導入したことから始まった。今回、日本でも体制を整えて展開していく。今後は台湾や東南アジアでも導入していきたい」と意気込む。

価格は取り付け費を含めて約22万円。J21の佐藤元気執行役員によると、「競合製品に比べ値は張るが、作動性能が高く、誤作動が少ない。長年カメラやセンサー技術を磨いてきたモービルアイの強みだ」と自信を見せる。J21は2011年からモービルアイ製品の取り扱いを始め、これまでに国内で約6万台のトラック・バスに納入している。

一方、同様のシステムを手掛ける国内メーカーのワーテックスは、商用車向けの主力製品で税込み価格12万円台に抑えている。モービルアイ製品にはない前方車発進時のお知らせ機能を備える。導入実績は商用車向けを中心に約5000台だ。「鳴りすぎてうるさいという声もある」(同社営業担当)という課題もある。今後は自動ブレーキ機能のつかない軽自動車など、乗用車向けにも展開したい考えだ。

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