将軍・徳川家斉が「53人も子供を作った」ワケ 「男子26人、女子27人」はスゴすぎです…

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Q8. それにしても53人はあまりにスゴいのでは?

それには、当時の医療事情も関係しているでしょう。というのも、江戸時代の日本人は、「平均寿命が30~40歳」といわれていました。

その理由として、「生後1年間の乳幼児死亡率が20~25%」という高さが強く影響しています。また、予防医学や衛生面での対応が未発達なため、健康は個人の生命力や日常的な生活力に頼るほかありませんでした。

これは将軍家でも例外ではなく、実際、徳川家斉の子どもも約半数の25人が成人できずに夭折しています。

とくに、そのほとんどが彼の前半生に集中しており、後継者だけでなく十分な「スペア」確保の必要性から、子づくりにより積極的となったとも考えられます。

平均寿命は30~40歳、高い乳幼児死亡率

Q9. 一般よりも、江戸城内の医療体制は整っていたはずでは?

当然、医師は常駐し、処方される薬なども含め体制そのものは国内最高水準です。

ただ、大奥の女性がその頃使用していた化粧品(白粉〈おしろい〉)に有毒な鉛が含まれており、これが懐妊時の胎児に影響を及ぼして、家斉に限らず徳川家の子女の多くが幼くして落命した原因だったという指摘もあります。

Q10. 当時の「平均寿命が30~40歳」というのも衝撃ですね

「七つ前は神の子」といわれ、「7歳をむかえるまでは、人間の形はしていてもまだ魂が遊離しやすい不安定な存在」だというのが、当時の子どもに対する人々の考え方でもありました。

そこから、「3歳男女児の髪置(かみおき)」「5歳男児の袴着(はかまぎ)」「7歳女児の帯解(おびとき)」といった子どもの成長の節目を祝う「七五三」の慣習が生まれます。

ちなみに、「平均寿命が30~40歳」といっても、無事成人できた人の多くはもっと長生きをしていました。必ずしも、誰もがその年齢で亡くなっていたというわけではありません。

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