戦車アニメファンも実感、進化する日本の防衛

吉崎 達彦が読む、ちょっと先のマーケット

今回のテーマは主要装備品紹介と、島嶼防衛

「総火演」の前段は、陸上自衛隊の主要装備品の紹介である。中でも花形は「10式戦車」だ。これは「ヒトマル式せんしゃ」と呼ばねばならない。間違って「イチマル式」とでも呼ぼうものなら、プロの競馬アナウンサーが「馬連はサンロクです」と口走ったときと同じような顰蹙を買ってしまう(競馬の③―⑥は「サブロク」と呼ばなければならない)。

なぜ「10式」かというと、2010年に正式化されたからで、陸上自衛隊にとっては61式、74式、90式に続く第4世代戦車である。こんな風に兵器を西暦で呼ぶことは、わが国では「ゼロ式戦闘機」(1940年=皇紀2600年)以来の伝統なのであるが、それだったらなぜ防衛大綱は元号で呼ぶのかちょっと不思議である。民主党政権下の2010年にできた防衛大綱は、「フタフタ大綱」(平成22年)と呼ばれているのだ。

現代の戦車は、戦争映画などに出てくる昔の戦車と見かけは似ているけれども、性能はまるで違う。今の戦車は、走りながら砲弾が撃てる。「10式」などは、スラローム走法をしながら撃ててしまう。砲弾を撃ったら、敵にこちらの居場所が知れて、反撃を受けるかもしれない。だから撃ったらすぐに居場所を変えるのだ。見ていると、大きな戦車が実にすばしっこく動く。

さらに「10式」の売りはネットワーク対応であること。複数の戦車が情報を共有しながら、有機的に行動することが可能なのだ。こんな戦車が純国産で、開発は防衛省技術研究本部、製作は三菱重工業である。日本製品にありがちなことに、少々ガラパゴス的な感じもあるけれども、武器輸出三原則がいささか恨めしく感じられる。ヒトマル式を輸出できれば、防衛費のコスト削減にも役立つと思うのだが……。

余談ながら、防衛省の開発担当者は栃木県佐野市の「人丸(ひとまる)神社」に安全祈願をし、戦車の写真を奉納してもらったという。技術者が最善を尽くしたら、最後は神頼みになる。小惑星探査衛星「はやぶさ」にも同様なエピソードがあったと聞く。日本のモノづくりの伝統は健在である。

となると、今度は南西諸島防衛のための水陸両用車の開発を期待したいところである。ところが、防衛省が自前で開発すると10年くらいかかってしまうので、アメリカ製を購入することが決まっているらしい。「待っていられない」というところに、昨今のわが国を取り巻く安全保障環境の難しさがある。

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