追加緩和の選択肢なき日銀を取り巻くリスク

米国のQEの縮小と、中国バブル潰しの帰趨に注目

BIS(国際決済銀行)の今年の年次報告書(6月公表)は、中央銀行が金融緩和策を継続すればするほど、モラルハザードが強まって、出口政策の困難度はますます大きくなっていくと警告していた。昨年までの同報告書も緩和策の危険性に警笛を鳴らすものだったが、今年は一段とそのトーンが強まった。日本銀行が今年4月にFRB(米国連邦準備制度理事会)を上回る超緩和策を開始したことがBISの危機感を強めているのだと思われる。

日銀やFRBが行っている緩和策は、本質的には経済の病巣を治療することはできず、モルヒネ的な痛み止め効果によって「時間を借りる」ことしかできない。バランスシートを修復する時間、財政再建に取り組む時間、生産性向上のための改革の時間を、中央銀行が緩和策で稼いでいる間に、政府や民間がそれらに取り組む必要がある。

しかし、実際のところは、BISが懸念するように、「チープマネー」は「変化よりも現状維持を容易にする」。借りた時間が上手く利用されなければ、副作用が膨らんで行く恐れがあるため、注意が必要である。

海外ヘッジファンドは、日本に対して醒めている

最近、海外のヘッジファンド関係者と話をしていると、「日銀は量的質的緩和策から脱出できないのではないか?」という見方が増えてきているように感じられる。巨額の国債を購入する政策が続くと、政府・議会はそれに慣れてしまい、単にインフレ率が目標の2%に達したらやめられるというものではなくなってくる恐れがある。政府の財政赤字が減って、国債発行額も減って来るという”幸運”がないと、日銀は国債買入れを減額できないだろう。

それでもヘッジファンドが「日本買い」のスタンスを続けているのは、将来は財政などに大問題が発生する恐れは認識しつつも、短中期的観点で割り切れば、エマージング市場に投資することが流行りの時代がいったん終わったこともあって、日本はまだ魅力的に見えているということなのだろう。

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