欧州に旅行する日本人が驚く人気地の超混雑

人口4000人の村に年250万人が押し寄せる

目にあまる観光客マナーに対し、ユニークな対策を講じたのが、フィレンツェだ。

チンクエテッレでの取材後にほぼ20年ぶりに立ち寄ると、現在のその光景は、時の移ろいだけでは言い表せない変化があった。サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂やシニョリーア広場の前は、まるでディズニーランドにいるかのような大混雑ぶり。セルフィーなどで写真撮影に興じる観光客であふれ返っていた。20年前の写真と見比べても、その差は歴然で、自治体が近年対応策に苦慮する理由がわかる。

事実、今世界では所得の向上で海外旅行ができる余裕のある層が増えている。

多くの観光客は、敬意を持ち節度をわきまえているが…

フィレンツェの市長は、英紙ガーディアンのインタビューに対し、こう嘆く。「多くの観光客は、敬意を持ち節度をわきまえている。しかし、なかには文化的な遺産に敬意を払わず、教会の階段に座り込んで、持参した食べ物を食べ、残りモノやゴミを捨て去っていく人たちもいる」。教会の階段で、まるで「ピクニック」や「キャンプ」をしている観光客たちが少なからず存在しているといい、彼らは油まみれの食べ残しや、飲み干したビール瓶をそのままポイ捨てしていってしまうというのだ。

そこで、フィレンツェが取った対応策とは、なんと観光客たちが座り込む教会の階段に、ランチタイムを狙ってホースで水を放つ、という荒療治だ。市長は言う。「教会前に座ろうとしたら、彼らのお尻は濡れてしまうだろう。これで、教会前で“ピクニック”や“キャンプ”をする人たちは減るはずだ(英紙デイリーメール紙)」。

大半の人々がマナーを守り観光を楽しむ中、節度のない一部の観光客のためにこうした対策を取るのは心苦しいが、歴史ある街を美しい景観に保つには仕方のないことだという。

観光名所は記念撮影に興じる大勢の観光客でごった返す。セルフィーでの撮影も多く見掛けた(写真:筆者撮影)

6月にはイタリアのダリオ・フランチェスキーニ文化観光相が、フィレンツェなどの観光名所で観光客などの数をモニターし、訪問を制限する案を明らかにしている。

次ページ上陸する人数を制限する案も出ている
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