欧州に旅行する日本人が驚く人気地の超混雑

人口4000人の村に年250万人が押し寄せる

チンクエテッレでブドウの栽培で生計を立ててきた男性は、半ばあきらめ顔でこう話す。

「世界遺産に登録されてからの混雑は本当にひどい。しかも最近は、SNSに投稿するために、写真を撮りに来るような観光客も多い。ここには、厳しい自然環境を乗り越えて暮らしてきた人々の暮らしや、古くから作られた貴重なワインなどの、文化的な財産がある。しかし、そういう歴史や文化に思いを馳せず、ただ表面的に写真だけ撮って帰ってしまう人々が増えてきたのは、仕方のないこととはいえ寂しい」

チンクエテッレ国立公園の園長は、混雑解消のために、観光客から入場料を徴収したり、観光客の数自体を管理する対策を発表し、物議を醸した。

AFP通信では、チンクエテッレの大混雑について特集記事を組んでいたが、そこで園長は、まるで「何人来るかわからないまま、ホームパーティの準備をするようなものだ」と嘆いている。

岸壁でビキニ姿でくつろぐ観光客。時折、次々に飛び下り奇声をあげる光景も見掛けた(左)。住民が日々歩く比較的静かな通りも、フォトジェニックなスポット。記念撮影は続く(右)(写真:筆者撮影)

少し小道を入ると、静かな住民の暮らしが息づいている。そこまで来る観光客はなかなか少なく、一見平穏な暮らしを保っているかのように見える。しかし、取材を受け入れてくれた住民の家にお邪魔させてもらい、そこで話を聞いていると、やはりそこにもチンクエテッレをディープに散策したい観光客が時折、窓から中を覗き込んだり、住宅の写真を撮ったりする光景に出くわした。もはや、住民側も気にしないようになっているようだが、それにしてもこの生活は確かに落ち着かないだろうと、その心境を察した。

高級食材のウニを見つけ、次々と海に飛び込む観光客

道端ではそこで暮らす子どもたちが無邪気にゲームで遊んでいた(写真:筆者撮影))

余談だが、去年、中国人の観光客が団体で訪れた際にも珍騒動が発生し、大きな話題となった。岸壁にたどり着いた中国人観光客たちが、高級食材のウニを岩場に発見。にわかに、「新鮮なウニが沢山いるぞ!」「こっちだぞ!」と騒がしくなり、次々に海に飛び込みウニを捕獲し始めたという。

地元漁師が、「ここのウニはまだ小さいから放してやってほしい」と注意したにもかかわらず、その後もウニの写真を撮り続けたり、その場で石でかち割り、生のまま食べたりするという行動にまで出た者もいたそうだ。これは、イタリア国内のみならず、世界中で報じられ、急増する観光客のマナーが疑問視される結果ともなった。

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