民進党、どう転んでも「やはり明日はない」 「対決よりエール交換」の代表選はスルーされ

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代表選は、国会議員・国政選挙の党公認候補予定者と、地方議員、党員・サポータの投票によるポイント制で、計851ポイントの過半数を得た候補者が当選する。今のところ党内の主要8グループのうち5グループの支持を取り付けた前原氏が1グループだけの枝野氏を議員票で大きく引き離して「かなり優勢」(党幹部)とされる。もちろん総ポイントの約3分の2を占める地方票次第では接戦となる可能性もあるが、「地方組織が盛り上がらない現状では逆転の可能性は少ない」(同)のが選挙戦の実態だ。討論会などでの前原氏の言動が慎重なのも「勝利を意識して守りに回っている」(党長老)との見方が広がる。

蓮舫代表の辞任表明から間もなく1カ月。"加計・森友隠し"への国民批判などで「1強」が揺らいだ安倍晋三首相は「出直し人事」で支持率急落に歯止めをかけた。年内解散説も強まる中で、民進党代表選には「高みの見物」を決め込んでいる。「民進党対策より経済や北朝鮮危機への対応が重要」(自民幹部)というが、代表選の迫力不足に高をくくっていることは間違いない。

弁舌さわやかで「悪魔とも組むどす黒さ」がない

「路線問題を最終決着させなければ政権を狙う政党としての未来はない」(党長老)にもかかわらず、前原、枝野両氏の論戦には「相手を追い詰めない身内の友情」(党若手)が目立つ。「長年の盟友であっても徹底的に戦う」(自民幹部)という自民党総裁選と比べると民進党代表選は「のどかな小学校の級長選挙」(自由党幹部)にもみえる。首相の立場を「どす黒いほどの孤独」と述懐したのは、民主党に政権を奪われたときの首相だった麻生太郎副総理兼財務相だが、代表選での前原、枝野両氏の言動には「どす黒さの欠片も感じられない」(首相経験者)。

民主党政権誕生の立役者だった小沢一郎氏(自由党代表)は「権力闘争では悪魔とでも手を組む」というのが持論だった。小沢氏より20歳以上若く、弁舌さわやかな前原、枝野両氏の親友対決は「結局、どっちが勝っても党分裂や野党再編への流れは変わらない」(党長老)のが実態かもしれない。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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