中小企業が外国人を雇用する理由は何なのか 日本政策金融公庫の調査で分かったこと
「監督指導を実施した事業所のうち、7割で労働基準関係法令違反あり」
「実習先から失踪した技能実習生を使って農作物を栽培・販売」
外国人の雇用をめぐり、「賃金不払い」や「違法な時間外労働」などの法令違反事件が後を絶たない。失踪した中国人技能実習生を集め、耕作放棄地で農業をさせていた茨城県の事件や、介護施設で過酷な労働を強制していた大阪府の事件など、外国人労働者の違法・不当な扱いをめぐる報道が毎月のようになされている。
こうした中、中小企業と外国人労働者の関係について、「日本人を採用できない中小企業が外国人を低賃金で酷使している」という悪いイメージが一般的になっているのではないか。
だが、日本人を雇用できないような悪い労働条件であっても、外国人は就労するのだろうか。また、逆に、日本人と同レベルの賃金を支払わなければならない場合に、中小企業が外国人を雇用する理由は何だろうか。こうした疑問に答えを出すべく、中小企業と外国人労働者との関係を分析した、ユニークな調査報告がこのほどまとまった。
正社員採用は経営戦略上の理由から
調査を実施したのは、政府系金融機関である日本政策金融公庫の総合研究所。2016年8~9月に、「外国人材の活用に関するアンケート」を実施した。同公庫の融資先のうち、製造業、卸売業、小売業、飲食店・宿泊業、情報通信業、サービス業の1万5970社に調査票を送り、3924社(回収率24.6%)から回答を得た。うち外国人を雇用している企業は523社あった。
アンケート回答企業のうち、派遣社員を含め外国人を雇用している企業の割合は13.3%だった。業種別に見ると、飲食店・宿泊業と製造業が圧倒的に多く、それぞれ25.5%、24.3%だった。
従業員規模別で見ると、大きいほど外国人を雇用している企業の割合が高く、外国人従業員の国籍で多いのは中国(38%)、ベトナム(18%)、フィリピン(7.7%)だった。
在留資格は「技能実習」が31.1%で最も多いが、「永住者」や「日本人の配偶者等」などの身分に基づく在留資格も相応の割合を占めており、合計で32.8%となっている。
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