中小企業が外国人を雇用する理由は何なのか 日本政策金融公庫の調査で分かったこと

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時給で支払っているケースを見ると、その差はもっとはっきり表れる。技能実習生のいない企業が非正社員を新規に募集する際に提示する時給の分布に比べて、技能実習生のいる企業が提示する時給の分布は、より低いほうに偏っている。

この結果について、竹内氏は「技能実習生を雇用する企業には、雇用していない企業に比べると生産性が低く、高い賃金を支払えない企業が多い可能性がある。逆に、技能実習生を雇用することができるので、高い賃金を支払おうとしない可能性もある」と分析している。

安倍晋三政権は「外国人技能実習制度」の対象職種や実習期間を拡大する方向だが、同制度をめぐっては、「現代の強制労働(奴隷)制度」「安い労働力の使い捨て」などという批判が絶えない。技能実習生以外の外国人はハローワークなど通常の労働市場経由で雇用されているのに対し、技能実習生はそうではなく、労働市場や中小企業の競争力を歪めている可能性がある。

現実に即した受け入れ体制の構築を

また、自治体の受け入れ体制が整っておらず、医療や子どもの教育など外国人ゆえの悩みや課題がないわけではない。

だが、「インバウンド受け入れ企業をコンサルティングでサポートする企業や、中小企業と留学生のマッチングを支援する企業など、外国人を活用して成長している企業はある」(竹内氏)という。

厚生労働省によると、日本国内の事業主に雇用されている外国人労働者は100万人を突破した(2016年10月末)。すでにこれだけ多くの外国人が日本で働いている現実を踏まえ、移民受け入れか否か、という二者択一ではなく、現実に沿った受け入れ策を議論していく必要がありそうだ。

山田 徹也 東洋経済 記者

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やまだ てつや / Tetsuya Yamada

島根県出身。毎日新聞社長野支局を経て、東洋経済新報社入社。『金融ビジネス』『週刊東洋経済』各編集部などを経て、2019年1月から東洋経済オンライン編集部に所属。趣味はテニスとスキー、ミステリー、韓国映画、将棋。

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