トヨタが東北に灯した、HVという名の“火” 岩手のアクアに続き、宮城でカローラHVの生産を開始
カローラはトヨタを代表する車として1966年に登場。69年から2001年までの33年間にわたって、国内の車名別販売台数トップ(軽自動車を除く)を守り続けた。ピーク時には年間40万台(1973年)を売った年もある。かつての日本の「国民車」だ。
かつての国民車、2012年は8位に低迷
だが、02年にホンダ「フィット」に初めて年間首位の座を奪われた後は、徐々にその存在感は薄れ、近年は拍車がかかっていた。というのも、トヨタが次世代のエコカーとして位置づけてきた「プリウス」、その弟分として登場した小型車「アクア」といったHV専用車が、燃費や環境に優しいというイメージの良さなどから人気が沸騰。昨年(2012年)でみると、車名別ランキング(軽除く)1位は「プリウス」(31万台)、2位は「アクア」(26万台)で、カローラは8位、販売台数も8万台にとどまっていた。
一方、HV仕様の追加でカローラの販売には弾みがつきそう。カローラHVシリーズの価格はプリウスとアクアの中間程度。荷物を積みやすいワゴンタイプもあり、ファミリー層だけでなく法人向けの需要開拓にもつながりそうだ。カローラはいわゆる「エントリーカー」で、買い替えの際には上級のクルマに移行する人が多く、個人の固定ファンはあまり多くないと思われる。一方、法人需要は、カローラ比率が高く、HVへの買い替えが期待できる。
カローラはモデルチェンジ時点で、HV化を想定しており、ユーザーからの要望を受けて、今回の仕様追加が早まったという背景もある。
現時点における、宮城大衡工場におけるカローラの生産計画は月間8000台、年9万6000台。工場全体の昨年生産台数が12万台で、カローラ主体の生産基地である。トヨタはカローラHV(アクシオ、フィールダーの合計)の月販目標を2500台、年3万台に置いている。
「カローラを売るのはカローラ店のみ。プリウス、アクアはトヨタ系の全販売店(カローラ店に加え、トヨタ店、ネッツ店、トヨペット店でレクサス除く)の扱いだが、チャネル数の違いからプリウス、アクア並みに売れるということはないだろう」と、トヨタ系販売店の幹部は指摘するものの、月販2万台以上の販売実績があるプリウスやアクアに比べると控えめな数字には違いない。カローラはHV仕様の追加で生産・販売台数が上積みされる可能性はある。
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