「実はここだけの話、わが社のファンドは2008年のリーマンショックも、そして11年の東日本大震災でさえ、乗り切ってきました。その際、最前線でギリギリの投資判断を行ったのがA常務です。そう聞くと『一体、何を判断基準にしてそのように巧みな投資判断を行ったのか』といぶかしく思うかもしれません。当人が私にだけ、こっそり教えてくれたのですが、実は彼が見ているのはただひとつ、太陽の黒点なのです。そしてその数と動きを毎日チェックすることで、地球上の出来事との相関関係を推察し、それで最終判断をしてきたのです」
太陽嵐が吹き荒れた1859年を上回る被害も?
「まさか、そんなことがあっていいものか。個人投資家からカネを集めるときには、やれ金利だ、指標だともっともらしいことを言っておきながら、実際には“お天道様”次第で大事なマネーの運用をしているとはいったい何事か」。そう怒る向きもいるかもしれない。だが、ぜひ一度、冷静に考えてもらいたいのである。マーケットを見るにあたって、なぜ“太陽”こそが大切なのか、と。
太陽嵐とは太陽の表面上で巨大な爆発が起こり(太陽フレア)、それによって爆発的な太陽風が放出されることによって、電磁波・粒子・粒子線が宇宙に向けて飛び出していく現象のことを指している。当然、この強力な「風」、すなわち「太陽嵐」は太陽系の惑星であり、私たちの暮らす地球にも甚大な影響を与える。
それでは「太陽嵐」がいったいどのような影響を地球に与えるのだろうか。歴史上、記録が残っている限りにおいて最大の太陽フレアが観察されたのは、今から154年前の「1859年」のことである。
このとき、8月28日から9月2日までの間、巨大な太陽フレアが観測された。そして通常であれば粒子が地球に届くまで数日かかるところを、計算するとたったの17時間で太陽嵐が地球を襲うことになったのである。その結果、米欧をはじめ、わが国においてですら「オーロラ」が観測され、場所によっては「夜なのに昼」であるかのような状況になったことが知られているのだ。
驚くべきなのはこれだけではない。当時、最も甚大な被害を受けたのは、使われ始めたばかりの「電信」施設だった。なぜならば電信用の電線に通電していないにもかかわらず、太陽嵐からの充電が行われた結果、放電が発生したからである。米欧の各地で通信手段としての「電信」は不通となり、大混乱となったのである。
そして2013年の「現在」。わが国のマスメディアは不思議と大々的に「そのように意義深い事案」としては報じていないが、8月5日にアメリカ航空宇宙局(NASA)がその公式ホームページ上でひとつの重大な発表を行った。「これから3~4カ月以内に太陽で極域磁場の転換が発生する」というのである。
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