積水ハウスまで騙された「地面師」暗躍の実態 3Dプリンタで実印すら完全偽造される時代に

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このプロデューサーは、売り主を装った人物のほか、パスポートなどを偽造する者などをまとめ、事件のストーリーを仕立てる。前述したとおり取引に携わる不動産業者や弁護士までグルになっていることもある。少しでも取引に関係するプレーヤーはなるべく味方側であるほうが、成功の可能性が高まるためだ。今回の事件詳細については各種報道に譲るとして、ここでは一般論として、こうした事件に巻き込まれないためにはどうしたらいいか、考えてみよう。

まず、自分が所有する不動産を勝手に売却されてしまう可能性について。狙われやすいのは、たとえば都心の超一等立地など、誰もが欲しくなるような物件だ。必然的に取引価格は億単位となる。

地面師グループもリスクを冒して犯罪を行うわけだから、同じリスクでなるべく多く稼ぎたいと考える。またこうした魅力的な物件を、やや相場より安い価格で買い主に提示することによって、迅速な犯罪遂行のために契約を急がせたり、契約内容についてあまりうるさいことを言わせないといった土壌づくりを行う。

また、建物のない更地か、建物が立っていても所有者がそこに住んでいないことが望ましい。買い主が現地を訪れた際などに、売り主と買い主が会ってしまえば、自分が偽売り主であることを見抜かれてしまう。

都心物件であれば、地方や海外に居住する売り主であることが望ましい。取引関係者は少しでも少ないほうがリスクが減るため、また自身らの手取額が減ることを嫌って、金融機関が関与する抵当権が付いている不動産も避けられがちだ。

偽造を見抜けなければお手上げ

しかし、勝手に売却されてしまうのを完全に防ぐことは難しい。権利書や印鑑証明書、実印、そして身分証明書の4点セットを偽造され、それを買い主が見抜けなければお手上げだ。

毎年4~5月に送られてくる固定資産税の納税通知書が届けば、それは自分から他の誰かに所有権が移転していない証しにはなるが、納税通知書は1月1日時点の所有者に対し自動的に送られてくるため、数カ月のタイムラグの間に売られてしまったら、気づくことは遅れる。そもそも納税通知書が送られてくることで確認できるのは年1回だ。心配なら頻繁に法務局に通い、登記情報に変化がないか確認するしかない。

次ページ勝手に転売されたということが明らかになると・・・
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