不動産業界の「経験と勘」ビジネスが終わる日 国交省も本気!「データ集約」で激変する未来

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不動産の価格査定は、非常に大ざっぱであるのが現状だ(撮影:今井康一)

「不動産の価格査定とは、こんなにテキトーでいい加減なものなのか!」

初めてこの業界に足を踏み入れたときに受けた衝撃は、今でも鮮明に覚えている。

査定担当者の経験と勘で決定していた価格

不動産取引というものは、瞬時に、しかも反復して大量の売買が行われる株式取引などとは異なり、一つひとつ個別の相対取引だ。それゆえ、取引価格の妥当性には、どこまでいってもあいまいさがつきまという。また、不動産価格査定の手法は、その価格の決め方も「土地がだいたいいくら」「建物は10年でおよそ半値」「25年程度でほぼゼロ」といったもので、最終的には査定担当者の経験と勘で査定価格を決定する。非常に大ざっぱな査定方法であるのが現状だ。

こうした実情を改善し、不動産価格を限りなく透明化させるため、国は現在「不動産総合データベース」の整備を進めている。

不動産情報といえば、たとえば、不動産業者間物件情報交換ネットワークシステムの「レインズ」(REINS / Real Estate Infomation Network)があるが、実はこの中に織り込まれている情報は、不動産広告の物件概要に掲載されている程度のものにすぎない。

また、国土交通省では、実際に取引された不動産の価格情報を、「不動産取引価格情報土地総合情報システム」というウェブサイトで公開してはいるものの、その情報の出所は、アンケートで価格情報公開に了承したケースのみであり、数量としてまったく不十分だ。そこで今、国土交通省が不動産にまつわるありとあらゆる情報を集約したデータベースの整備に動き出している。

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