不動産業界の「経験と勘」ビジネスが終わる日 国交省も本気!「データ集約」で激変する未来
しかし、現在日本で行われているこうした取り組みにはいまだ限界がある。というのも、日本で行う価格推定の根拠となるのは主に、インターネット上に出ている物件情報をロボットでクロールしてかき集めてきたものだからだ。つまり、そもそも不透明な価格づけの情報を集めて加工しているだけだ。これではおのずと限界があるのも自明といえよう。
先の不動産総合データベースが本格稼働すれば、こうした課題も解消される。今のところこのデータベースを利用できるのは、当初は不動産仲介業者(宅建業者)だけの予定だが、国土交通省はもちろん、民間への情報公開を見据えている。
不動産仲介業者の仕事が大きく変わる
このデータベースが本格稼働すれば、不動産仲介業者の仕事は大きく変わる。現在は、1つの不動産を売り買いする際に、法務局や役所、水道局など各所を駆けずり回って不動産調査を行い、契約関係書類を作成する必要があり、これに最低でも1~2日の時間を要したが、ボタン1つで契約関係書類が出来上がる。
データベース活用や人工知能などによる業務のテクノロジー化の進展で、不動産取引が効率化され、取引の細分化、プロセス化が進めば、そもそも不動産仲介業者の存在意義が問われることになるだろう。不動産取引には専門知識を要する場面があるため、不動産業者はまったく必要ないということにはならないだろうが、まずは売り主と買い主で一定の条件交渉を済ませてしまい、リーガルチェックや取引の安全性担保のために不動産業者が介在するといった程度の取引も可能になるため、仲介手数料には大きな下落圧力が働く可能性もある。
ところで先のデータベースには、入力されていない情報が1つだけある。それは「建物のコンディション」だ。たとえば、物件Aは今、チョロチョロと雨漏りしているかもしれない。物件Bはそろそろ屋根・外壁の修繕が必要かもしれない。このような建物のコンディションは、「ホームインスペクション」(住宅診断)で補完することができる。すでに法改正は済んでおり、早ければ2018年度から、インスペクションの説明義務化がスタートする。
国によるこうした一連の動きで、不動産の情報と価格は限りなく透明化し、「中古住宅はよくわからないから不安」といった状態からついに抜け出せる可能性が高い。
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