不動産業界の「経験と勘」ビジネスが終わる日

国交省も本気!「データ集約」で激変する未来

不動産にかかわる情報は現在、多方面に散逸している。都市計画情報は市区町村役場、上下水道などインフラ情報は水道局や下水道局、登記情報は法務局といった具合だ。こうしたものを一元化し、さらに物件の過去の取引履歴、成約価格、住宅履歴情報、マンション管理情報、周辺のインフラの整備状況や公共施設の立地状況、周辺不動産取引価格情報など、物件そのものの情報に加えて周辺エリア情報、さらには災害や浸水可能性などのネガティブ情報や小中学校などの学区情報に至るまでが、このデータベースの中に詰め込まれる予定だ。

実はこの新たな不動産総合データベースは、試作品は日本ユニシスの協力を得てすでにプロトタイプが完成しており、現在、横浜市・静岡市・大阪市・福岡市などで試行運用中で、早ければ2018年度には全国に順次拡大される見込みだ。

データベースの本格運用で何が起こる?

では、この新しい不動産総合データベースが本格運用されると、具体的にどんなことが起こるのか。こうしたデータベースがすでに整備されている米国の例を見てみよう。

たとえば米国の物件検索サイト「zillow.com」では、本物件の相場価格は現在いくらなのか、3年前・5年前・10年前の価格はいくらだったのかということが株価推移のように表示されている。

さらにはこの物件の周辺地域の平均価格とその推移についてもだ。不動産にまつわる、ありとあらゆる情報を集めたうえで、一定のアルゴリズムの下にAI(人工知能)が推定価格をはじき出している。推定価格がついているのは販売中の物件だけではない。現存するすべての不動産について推定価格が算出されている。

もちろん売り主も買い主も、必ずしもこの推定価格に従って売買を行うわけではない。前述したとおり、不動産売買価格は株価などと異なり、あくまで売り主・買い主双方の個別の事情・状況を色濃く反映した個別の相対取引だからだ。それでも、こうした推定価格が示されていることによって、売り主も買い主も、不動産仲介エージェントも、これを標準あるいは参考としながら取引を行うことができるわけだ。

日本でも昨今、金融業界における「FinTech(フィンテック)」に続いて、「Real Estate Tech」とも呼ばれる不動産テクノロジーが生まれている。不動産テック(リアルエステートテック、Real Estate Tech)とはテクノロジーの力で、不動産売買、賃貸の新しい仕組みを生み出したり、従来の商慣習を変えようという取り組みのこと。この流れから、複数の「推定価格」を表示する不動産サイトが増加している。

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