中国の動画配信サイト「ビリビリ動画」の正体 年に1度の祭典に行ってみてわかったこと
月間アクティブユーザー数では、百度(中国最大手検索エンジン)の愛奇芸、テンセントのテンセントビデオ、アリババの優酷土豆という中国ITジャイアント旗下のサイトには及ばないものの、それに次ぐ第二グループの中ではコアなユーザーがいること、ユーザーの大半が若者によって占められていること(平均年齢は20代前半)によって強烈な存在感を示している。
7月21日から23日にかけて、ビリビリ動画は年に1度の祭典「ビリビリマクロリンク」を上海で開催した。今回はその取材レポートをお届けしたい。
ビリビリマクロリンクとビリビリワールドで見たもの
今回が5回目となるビリビリマクロリンクだが、2013年の第1回は参加者わずか800人というファンミーティングからスタートしている。それが今年は延べ10万人を動員する巨大イベントに成長した。
メルセデス・ベンツ・アリーナ(もともとは上海万博会場として建設されたもの。中国最大規模のアリーナ)において、3日間連続でライブを開催。初日はボーカロイドによるコンサート(中国のボーカロイドがメインだが、日本からもIA(いあ)、モノクロームが出演した)。2日目は高橋洋子、宮野真守、三森すずこなど日本人歌手によるアニメソングライブ。そして3日目は、ビリビリで動画を公開する一般配信者とGARNiDELiA、大黒摩季、LiSAなどゲスト歌手によって構成された。3日目のコンサートのストリーミング配信では延べ600万人が視聴している。
また、メルセデス・ベンツ・アリーナに隣接する上海世博展覧館では「ビリビリワールド」が開催された。有名配信者やゲストによるミニライブやトークショーに加え、ゲーム体験コーナーがあり、ナイキ、テンセントマンガと有妖気(ともに中国の大手ウェブマンガ配信サイト)、そして日本のアニメイト(アニメグッズ販売店)などの企業ブースが並んだ。
目を引いたのは、アメリカの化粧品ブランド「メイベリンニューヨーク」のブース。コスプレイヤーのための化粧講座が人気を集めていた。アニメやマンガに由来する「二次元経済」とナイキ、メイベリンニューヨークではターゲット層が大きく異なるように思えるが、関係者によると若者層に絞ったブランディングができるという意味で、スポンサー案件の引き合いは多いという。
実際に会場を歩いた体感では、参加者の過半数は10代の若者たち。たんにイベントを楽しむだけではなく、コスプレをして自ら主体的に楽しむ人の姿も目立った。会場の一角には一般参加者が思い思いのパフォーマンスを見せるフリースタイルコーナーがあり、企業ブースをしのぐ盛り上がりを見せていた。