中国の動画配信サイト「ビリビリ動画」の正体 年に1度の祭典に行ってみてわかったこと
注目を集めている「二次元経済」とは?
中国には「二次元経済」という言葉がある。
中国IT業界の雄、テンセントの映画部門であるテンセントピクチャーズの程武CEOが2015年に提唱した概念で、「優秀なアニメ・マンガ原作(知的財産=Intellectual Property、IP)を育て、ゲーム、映画、文学など関連製品に広げ、流行文化を創り上げる」という内容だ。
時価総額3兆香港ドル(約42兆円)を誇る巨大企業グループがアニメ、マンガとはなんともニッチな商売をしている......と思われるかもしれないが、不思議な話ではない。テンセントはQQや微信(ウィーチャット)というメッセンジャーアプリを筆頭に、さまざまな分野で支配的地位を築くITジャイアントだが、実はその収益の多くはゲームに由来している。
今年もスマホゲーム「王者栄耀」の大ヒットで時価総額を大きく伸ばした。むしろコンテンツを育て、ゲームに結びつけるのは彼らの本業なのだ。
ゲームという、今のIT業界で稼ぎ頭のサービスと関連しているという意味に加え、95後(1995年以降に生まれた若者)、00後(2000年代以降に生まれた若者)をいち早く取り込むという意味でも「二次元経済」は注目を集めている。
「二次元経済」において、テンセントと並び注目を集めるのがビリビリ動画だ。名前から見当がついた人がいるかもしれないが、日本のニコニコ動画にインスパイアされて始まった、中国の動画配信サイトである。ニコニコ動画から遅れること3年、2009年に開設された。