人間関係が希薄な人が「長生きできない」ワケ

孤独は喫煙や肥満より危険だ

慢性的に社会との接触が不足している人々は、強いストレスや体の炎症を経験することが多い。これらは脳を含むほぼあらゆる身体組織の健康に悪影響を及ぼす可能性がある。

社会との交流がないと、重要な臓器への血流は減少する可能性があり、そうなれば免疫機能も低下するかもしれない。遺伝子の発現の仕方にもマイナスの影響が出て、炎症を鎮める体の能力が損なわれる可能性もある。慢性的な炎症と心疾患や関節炎、2型糖尿病や自殺未遂との関係も指摘されている。

他者とのつながりが好循環を生む

2010年に『保健・社会行動ジャーナル』に発表されたテキサス大学オースティン校の研究によれば、「社会とのつながりの質が低いまたは量的に少ないことと、さまざまな疾患との関連を示す、矛盾のない説得力のある証拠」があるという。ここで言う「さまざまな疾患」には、冠動脈疾患の発病や悪化、心臓発作の再発、自己免疫異常や高血圧、がん、外傷の治りが遅いことなどが含まれる。

社会との交流の欠如は精神衛生上もよくない。前出のテキサス大の論文によれば、社会とのつながりによって感情的なサポートが得られれば、ストレスによる悪影響が緩和されるほか、「生きている意味や目的」をより感じられるようになる可能性があるという。

スタンフォード大学の同情・利他主義研究教育センターの科学ディレクターで、『自分を大事にする人がうまくいく~スタンフォードの最新「成功学」講義』(邦訳:大和書房)の著者でもあるエマ・セッパラ はこう書いている。「他の人々とつながっているという気持ちが強い人は、不安やうつをあまり強く感じずにすむ。さらに言えば、こうした人々は自尊感情がしっかりしていて、他者におおいに共感できる。相手を信頼し協力する気持ちも強いから、その結果として他の人々からの信頼や協力も得やすい」。

セッパラはこう続ける。「言い換えれば、社会とのつながりは、社会的・感情的・肉体的な幸せのプラスの連鎖を生み出すのだ」。

またセッパラは、つながりの実感という面で社会が十分な役割を果たせていないことが、人々の孤独や孤立、人間関係の希薄化を指摘する研究が増えていることや、孤独を理由に心理カウンセリングを希望する人が多いことの背景にあるのかもしれないと言う。

セッパラによれば、2004年には社会学的調査により、信頼できる相手がいない人が米国人の25%を上回ることが明らかになっているという。個人的な問題を気兼ねなく話せるような親しい友人がいないということだ。

健康志向の生活を送りたいなら、野菜をせっせと食べて毎日運動するだけでは不十分だ。セッパラはこうアドバイスする。「人とつながるのを忘れないこと」。

(執筆:Jane E. Brody コラムニスト、翻訳:村井裕美)
(c) 2017 New York Times News Service

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