人権派弁護士は食えるのか? 経営センスで雲泥の差 "マチ弁"の金持ち度

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全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会の中核を担う弁護士たちは、一般に「クレサラ弁護士」と呼ばれるが、日本弁護士連合会前会長の宇都宮健児弁護士は、クレサラ弁護士の東のトップである(ちなみに西のトップは大阪弁護士会の木村達也弁護士である)。

ライブドアの個人株主の被害救済訴訟で弁護団長を務めた米川長平弁護士は、悪質商法トラブルなど消費者問題全般でのエキスパートとして有名な弁護士だし、医療訴訟分野では薬害エイズ訴訟などを手掛けた鈴木利廣弁護士が有名だ。

その薬害エイズ訴訟で、帝京大学元副学長の故・安部英氏の代理人を務めたほか、ロス疑惑の三浦和義氏がメディア相手に起こした名余毀損訴訟の代理人、厚生労働省の村木厚子氏の代理人などを務め、今や稼ぐ弁護士の代表格に数えられている弘中惇一郎弁護士も、かつては医療訴訟の患者側代理人の若きエキスパートとして、その名を知られた弁護士だった。

その弘中弁護士が安部氏の代理人を引き受けたのだから、患者側で医療訴訟に携わる人権派弁護士から“裏切り者”扱いをされていることは言うまでもない。

人権派の弁護士は、音頭を取る大家の弁護士も、弁護団に参加する個々の弁護士も、基本的に個人の代理人だから得られる報酬には限りがある。

大きい事件が日常的に発生するわけではないので、日常的には交通事故処理や個人の離婚問題、窃盗や傷害などの個人の刑事事件などの仕事も積極的に引き受けるが、いずれも相手が個人なので得られる報酬はわずかだ。

したがって、人権派としての活動だけをやっていたら事務所経営は成り立たない。そこで、事務所の経営に必要な最低限度の稼ぎを中小企業法務で稼ぐということになり、基本的に人権派弁護士の事務所はかなり質素だ。

人権派以外のマチ弁の日常

日本国内に中小企業は約420万社あり、全企業数の99%以上を占める。中小企業というと潰れそうな会社ばかりを想像しがちだが、安定的に収益を稼ぎ出している中小企業は多数ある。

規模の大小を問わず、企業が営業活動を行っていれば、取引相手との契約条件交渉や、売掛金の回収問題は日常的に起きる。社内に目を向ければ労働関連の法務ニーズもあるし、契約書のチェックや未回収の売掛金の回収手続など、中小企業の法務ニーズは多岐にわたり、その数も多い。

回収できない売掛金を無税償却するためには、裁判所で債務名義を取得したり、強制執行など一定の回収策を講ずることも必要だ。

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