稲田氏と蓮舫氏、「同時辞任」の偶然と必然 未来の女性首相候補は「忠実な尻尾」となった

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おそらく稲田氏本人さえも、防衛大臣というポストには力量としてまだ未達ではあるが成長の伸びしろ込みで任命されたと認識していただろう。大任を受け、指示に忠実に席を温めてきた秘蔵っ子の稲田氏ではあったが、”核心”を守るためには「かねてより(辞任を)考えていた」、辞任は自らの意思であった、と記者会見で繰り返しながら”尻尾”になったのだ。

安倍首相は自らの任命責任を認めた。だが「任命責任がある」のと「任命責任を取る」のは別の問題だというのが、いつものロジックである。

ニュースが重なった「偶然」?

森友学園問題で籠池理事長夫妻が事情聴取、そして自民党・今井絵理子参議院議員の不倫ときて、そして民進党では、蓮舫氏が「自身の足らざる部分に気づいた」と党運営に行き詰まり、辞任表明。最後にいよいよ稲田防衛相の辞任と、たまたまニュースが重なったにしてはあまりにも話題の多すぎた1日。

おかげで一つ一つの話題へのエネルギーは分散され、目立たなくなったのは、全員にとって運が良かったというべきか、それともそのうちいくつかには水面下で何らかの意図的な連続性があったのか。いずれにせよ、わずか1日の間に、女性活躍推進なるムーブメントの旗印でもあった両党の代表的な女性政治家が一斉に辞任するなど、神の手でも働いたような辞任劇であったことは間違いない。

自民・民進ともに、ここに来て都議選疲れ(?)が一斉に出て折れ、8月の内閣改造に向けて態勢の立て直しを図っているが、物語のプレーヤーとして華や毒のある女性政治家がごっそりと表舞台から消えた感じだ。残念ながらつくづく表舞台に立つ女性が好まれない国ではあるのだが、国政はまた女性政治家不在の周期に入ってしまうのだろうか。

一方は「将来の女性首相候補」として育てられていたはずだった。他方は「野党」なる概念をその身で体現するような女性政治家だった。主演級のプレーヤーを失った国政舞台。今夏、都議選後から内閣改造にかけて、両党にとって態勢立て直しのコストはひどく高くついたとみなすべきだ。

河崎 環 フリーライター、コラムニスト

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かわさき たまき / Tamaki Kawasaki

1973年京都生まれ、神奈川県育ち。桜蔭高校から親の転勤で大阪府立高へ転校。慶應義塾大学総合政策学部卒。欧州2カ国(スイス、英国ロンドン)での暮らしを経て帰国後、Webメディア、新聞雑誌、企業オウンドメディア、テレビ・ラジオなどで執筆・出演多数。多岐にわたる分野での記事・コラム執筆をつづけている。子どもは、長女、長男の2人。著書に『女子の生き様は顔に出る』(プレジデント社)。

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