稲田氏と蓮舫氏、「同時辞任」の偶然と必然

未来の女性首相候補は「忠実な尻尾」となった

結果、小池百合子氏が7月28日に盛岡市の全国知事大会を終えた後、全国紙をはじめとする報道陣に対して答えた「ここに至るまでの流れについては若干、スピード感がなかった」とのコメントが示唆する通り、稲田氏の辞任は傷が大きく深くなってからだった。そして皮肉にも「なぜ首相は稲田氏をそんなに大切に守るのか」と責め立てたのは、辞意表明2日前の蓮舫元民進党代表だった。

水面下のリーク合戦に踊った世間

思い返すと、南スーダンPKOに関する国会答弁での失態は本格的な稲田叩きの皮切りとなったが、その後、大小のスキャンダル投下も加熱した。水面下のメディア攻防戦、リーク合戦が存在した。大臣である稲田氏の各失言問題や森友問題、加計問題など、自民党組織・政権への攻撃が加熱する中、それに比べて話題のレベルとしてはかなり公共性の低い、同じ自民党の明らかに病んでしまった女性議員の絶叫暴言や、「総理に最も近い」と言われたジャーナリストの準強姦もみ消し疑惑、そして今井絵理子参議院議員の醜聞までが市場へ供給されたように思える。

それら一つ一つはセンセーショナルでワイドショー的な関心を呼ぶ話題であるため、メディアは投げられた餌に向かって一斉に走り出してしまうのだが、そのたびに自民党への攻撃は組織から個人への攻撃に転じて、政権への集中砲火は一旦散らばる。問題が組織全体から個人レベルへ細分化され、そこでガス抜きとなる。

つまり、個々の件の事実としての正しさや倫理、社会正義とは別問題として、「そのタイミングで」「その角度から」「その話題が」メディアに放り込まれ火が付いたという「取り上げられ方」に政治的意図は確かに存在している。そう思ってあれこれのスキャンダルを振り返ってみるに、”意図”によって見事に世間みんなが踊らされてしまった虚無感だけが残るのだ。

だがいよいよ、安倍政権としてはここまで守り抜いて来たはずの稲田氏を守りきれなくなった。よりによって「ない」と言い張ってきた日報の存在が陸上自衛隊内部から明るみに出、批判が核心や本質に近づくと、逸らすために周辺で尻尾切りが行われる。

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